『イグナイト』はリーガルドラマとして100点満点! ピース法律事務所の物語の“拡大”も期待

『イグナイト』リーガルドラマとして満点

 前回、宇崎の回想のなかで裕生の言葉として描かれた、「大切な人を悲しませない」という“正義”。今回のエピソードにおける石倉のような悪に対する復讐心のようなものを義憤に止め、あくまでも“正義”は、悪による圧に屈せざるを得ない者に対して真摯に捧げられ、法の名のもとに行使されていく。「力なき正義は無力である」とプラトンの言葉にもあるが、法こそがその“力”であることを、宇崎というキャラクターがまざまざと証明してきた。法を知り、それを正しく行使する/その術を知ること。以前のエピソードで伊野尾(上白石萌歌)の台詞にあった「法を知ることは声を出せること」も含め、それがこのドラマの提示する理想的な“正義”というものだろう。

 それでいて、法廷の場で後出しされる逆転の“切り札”の大胆さに、畳み掛けるように追及すべき事実を突きつけて一気に追い込んでいく痛快さ。法廷劇の勘所を完璧に掌握した見せ方の巧さには舌を巻くものがあり、リーガルドラマとして100点満点といって差し支えない出来栄えだ。BABEL LABELにとって初の地上波GP帯連続ドラマとあって、開始前には期待と不安が半々であったが、最終話の落としどころまで申しぶんがない。そしてこのジャンルの構造上、物語をいかようにも拡げられる余地が当然残されているわけで、確実に言えることは、拡げるだけの価値がある作品だということだ。

『イグナイト -法の無法者-』の画像

金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』

BABEL LABELがTBSと初タッグを組むダークリーガル・エンターテインメントドラマ。“争いの火種”があるところへと潜り込み、人々に訴訟を焚きつけ、あらゆる手段を使って原告を勝訴へと導く「ピース法律事務所」の弁護士たちの姿を描く。

■配信情報
金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』
U-NEXT、TVerにて配信中
出演:間宮祥太朗、上白石萌歌、三山凌輝、りょう、及川光博、仲村トオル
企画・プロデュース・脚本:畑中翔太
脚本:山田能龍、山口健人
法律監修:福島健史
音楽:森優太
主題歌:B'z「恐るるなかれ灰は灰に」(VERMILLION RECORDS)
プロデューサー:山田久人、瀬崎秀人、駒奈穂子
編成:松本友香、杉田彩佳
監督:原廣利、山口健人、吉田亮
製作:BABEL LABEL、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ignite_tbs/
公式X(旧Twitter)@ignite_tbs
公式Instagram:ignite_tbs
公式TikTok:@ignite_tbs

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