『薬屋のひとりごと』実写化を妄想してみた 猫猫×壬氏にふさわしい“理想のバディ”は?

シリーズ累計発行部数4000万部を突破し、現在はTVアニメ第2期が放送されている『薬屋のひとりごと』。東洋に位置する架空世界を舞台に、薬師の少女・猫猫が後宮で巻き起こる謎を次々に解き明かしていく物語は、小説、アニメ化、漫画化といった複数メディアを横断しながら、多くのファンを獲得してきた。
作品の人気は出版業界やアニメファンにとどまらない。USJとの大型コラボや展覧会の開催、さらにはTVerアワードの受賞など、老若男女問わず広く受け入れられた、今や文化的現象と呼ぶにふさわしい作品となっている。
そうなると、どうしても期待したくなるのが実写化だろう。まだ正式なアナウンスはないが、ファンの間では「もし実写化されるなら……」という妄想が日々繰り広げられている。本稿では、原作の魅力を損なわず、映像作品としても成立しうる理想のキャスト陣を筆者視点で大真面目に考えてみたい。
猫猫
まず多くの方が気になっているであろう主人公・猫猫は、薬と毒への強い探究心を持つ17歳(数え年で)の少女。どこか達観したような冷めた視点を持ち、常に物事を俯瞰しながらも、時折垣間見える「人間らしさ」や「正義感」が彼女の魅力を引き立てている。演じるには、単に若いだけでも、演技力があるだけでも足りない。観る者に納得させる存在感が必要だ。
そう考えた時、清原果耶の名が最初に浮かんだ。『透明なゆりかご』(NHK総合)や映画『護られなかった者たちへ』での表現力はすでに高く評価されており、静かなシーンにおいても観客を惹き込む説得力を持つ若手女優だ。猫猫の特徴である「感情をあまり外に出さない」佇まいを再現するには、まさに適任だろう。
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また、清原は影を持った役柄を演じるのがとても上手い。何も語らずとも、背景にある知性や痛みを観客に伝えることができる数少ない俳優の一人だ。猫猫が時折見せる、毒舌と冷静さの裏にある人間臭さを、セリフよりも目の芝居で表現できる存在として、清原は唯一無二の候補といえるだろう。
壬氏
続いて後宮を取り仕切る宦官・壬氏は、物語の中で美の象徴として描かれているキャラクターだ。絹のような黒髪と白磁のような肌、そして天女の微笑みと称される表情とかなりこだわりの詰まったキャラクターなだけに、その容姿に見合う俳優は限られてくるだろう。
ここで提案したいのが吉沢亮だ。彼の美貌は言うまでもなく、映画『キングダム』での嬴政役では、「国を背負う若き王」としての威厳と、心の奥に宿る脆さや葛藤を見事に表現した。その二面性の演技が、壬氏という役の持つ“宦官”としての仮面と、“皇帝の弟”としての素顔に重っている。
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さらに、猫猫にだけ見せる嫉妬や独占欲、そして時に幼さすら漂わせる壬氏の素顔に潜む”人間的な脆さ”を演じられるかどうかは、実写化成功の鍵を握る。視線の揺らぎや、ほんのわずかな声のトーンの変化に感情を込められる吉沢であれば、壬氏というキャラクターが持つ危うさや魅力を、映像として説得力ある形で提示できるに違いない。