『カリオストロの城』クラリスはなぜ恋に落ちたのか ルパン三世に学ぶ“おじさま”の流儀

新作映画『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』が公開を迎えた『ルパン三世』。シリーズでも指折りの人気と知名度を誇る『ルパン三世 カリオストロの城』、通称『カリ城』が『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送される。

『ルパン三世』シリーズはあまり観たことがないけれど、これだけは観たことがあるという方も多いのではないだろうか。また、映画は観たことがなくとも、「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」というアニメ史に残るラストシーンだけでもテレビなどで観たことがあると言う人も多いのではないだろうか。
同セリフにもあるように『カリ城』は、『ルパン三世』らしさが凝縮された活劇や宮﨑駿が手がけたアニメーションの奥行きを存分に堪能できるアクションの数々に加えて、少女がおじさんに恋心を抱くという「歳の差の恋」も描いた物語となっている。
はじめに、公式での発表はないため劇中のセリフや描写をもとにした推測ではあるが、歳の差について、彼らの年齢を整理しておこう。まず、『カリ城』の劇中での時間軸は「1968年」であること。こちらは、怪我を負ったルパンへと不二子から送られてくる新聞の切り抜きにはっきりと「12 septembre 1968」と日付が描かれているため間違いないといえる。
そして、ルパンが銭形を指して「さすが昭和一桁。仕事熱心だこと」と野次るシーンがあるため、銭形は昭和一桁生まれであることがわかる。また、銭形とルパンは同じ大学の先輩(4年生)と後輩(1年生)であるという原作の公式設定から、ルパンは銭形より3つほど歳下と考えるのが妥当だとする。つまり、1968年は昭和43年のため昭和一桁である銭形が34歳から42歳であると仮定すれば、ルパンは31歳から39歳ということになるのだ。
続いて、ルパンに恋をする王女クラリスの年齢について、まず国を挙げて婚姻の儀が行われているということから常識的に考えると、「septembre」というフランス語が新聞に載っていることも踏まえて、カリオストロ公国でも、ヨーロッパの多くの国と同様、婚姻開始年齢は18歳、もしくは16歳であると思われる。そして、劇中で婚姻相手のカリオストロが結婚自体を何年も前から計画したうえで財宝目当てにかなり急いで進めていたことや、ルパンがカリオストロに対して「ロリコン伯爵」と揶揄するセリフも考慮して、クラリスは婚姻可能な最低年齢により近いものとして16歳から18歳であると考える。
したがって、本作では30代のおじさんと10代の少女による歳の差の恋が描かれているのだ。これだけを掻い摘むと『カリ城』は、あくまでも1979年の作品であり、もし2025年の感覚で制作されるとすれば、国民的アニメとしては採用し難い設定だと言えるだろう。実際、X(旧Twitter)やインターネットを中心に「おじさんが若い子との恋愛を夢見るのは愚かな行いだ」という言説は少なくない。

筆者もとりわけ現代において無闇にそういった「夢」を助長させる作品は不健康なものであるとは思う。ただ、『カリ城』に関して言いたいのは、クラリスがルパンに恋をしてしまう理由は、都合のいい何某かなどではなく、誰が見ても納得できるモノであるということだ。そうして、ルパンのスタンス、言動、立ち振る舞いなどに着目し、改めて鑑賞すると、そこには「男性の理想的な年齢の重ね方」のヒントがあるのだ。それは若い女の子に好かれるための何かなどではなく、「中年男」としての在り方であると言えるだろう。ということで、『カリオストロの城』のルパンが見せる所作や心構えに関しての、「ルパンの理想的中年ポイント」を大きく6つに分けて紹介させていただきたい。
まずは物語の冒頭、カジノから大量の紙幣を盗み出すルパンと次元の様子からスタートするのだが、彼らは追っ手たちの車にあらかじめ細工を施して逃走を成功させる。さらに、その際に1台の車のボンネットに「ごくろうさん」という張り紙をする遊び心を見せるのだ。
ここからすでに見える「ルパンの理想的中年ポイント」の1つ目は、とにかく仕事がすこぶるできること。その上で、少しの遊び心やイタズラ心を持ち合わせていること、ではないだろうか。そういった仕事への熱と自分の腕への確かな自信はまた、2つ目のポイントへと繋がっていくのだ。




















