菅田将暉は30代に突入して“ギア”が上がった NHK100年特集『火星の女王』抜擢の必然性

そんな彼の背景として、家族との関係性も見逃せない。6月4日に放送された『人生が変わる1分間の深イイ話 2025夏SP』(日本テレビ系)では、母や兄弟が登場し、弟への人生を変えた言葉が紹介された。テレビの前の視聴者も、菅田の素顔にふと触れた気がしたのではないかと思う。こうした家庭人としての一面もまた、彼の芝居や音楽に通じる“人間味”を支えている。さらに、5月21日22日に開催された音楽授賞式「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」でのMCも記憶に新しい。俳優、ミュージシャン、そして司会者として、ステージに立つ姿は、いつものように堂々としていた。だが、決して完璧を装わないその姿勢が、むしろ菅田らしく、会場の熱を引き出していた。完璧すぎず、どこか“隙”があること。その余白こそが、観る者の心を引き込んでやまないのだ。
30代に入ってから、俳優として、そして表現者としてのギアが一段と上がった菅田将暉。役に対する深度や、舞台裏に滲む人間としての成熟は、過去のどの時期よりも濃密だ。演技にしても音楽にしても、そこには“演じる”ことや“届ける”ことの先にある、感情や関係性の本質を見つめようとするまなざしがある。
『火星の女王』におけるアオトというキャラクターが、どのような存在として描かれるのか。まだビジュアルと設定しか明かされていない今の段階では、想像するしかない。ただ、未来の火星という舞台において、彼が人間味をどうにじませるのかは、大きな見どころになるだろう。
■放送情報
放送100年特集ドラマ『火星の女王』
NHK総合にて、12月放送(全3回)
出演:スリ・リン、菅田将暉ほか
原作:小川哲
脚本:吉田玲子
制作統括:渡辺悟
プロデューサー:石川慎一郎、原英輔、大久保篤、服部竜馬
演出:西村武五郎、川上剛
写真提供=NHK






















