菅田将暉は30代に突入して“ギア”が上がった NHK100年特集『火星の女王』抜擢の必然性

菅田将暉は30代に突入して“ギア”が上がった

 菅田将暉がNHK放送100年記念特集ドラマ『火星の女王』に出演することが発表された。本作は、火星に10万人が移住した100年後の未来を舞台に、スリ・リン演じる視覚障害を持つ主人公・リリ-E1102と、菅田演じる地球の若き職員・白石アオトが出会い、物語が動き出すという壮大なSF作品だ。公開されたイメージビジュアルには、いまだ詳細な情報が添えられていないものの、それだけで期待が膨らんでしまうのは、やはりこのキャスティングの説得力によるところが大きい。

 2009年、『仮面ライダーW』(テレビ朝日系)でシリーズ史上最年少の主演に抜擢されて以来、菅田は確実に、その立ち位置を変えてきた。「変えてきた」と書くと何かを狙って動いてきたようにも見えるが、彼の場合、その変化はむしろ“必然”であり、自然とそうならざるを得なかったような気がするのだ。

 菅田はこれまで、常に異なる顔を見せてきた。『共喰い』での鬱屈した若者、『帝一の國』でのコミカルな生徒会長、『あゝ、荒野』での孤独なボクサー、『3年A組 ―今から皆さんだけの、 卒業式です―』(日本テレビ系)の熱狂的な教師、『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の風変わりな大学生といったように、様々な役柄を引き受けている。そのどれもが演じる役の体温をそのまま引き受けるような、生身の表現が持ち味だと、個人的には思っている。

『帝一の國』©︎2017フジテレビジョン 集英社 東宝©︎古屋兎丸/集英社

 だからこそ、どんなジャンルの作品においても、たとえどれだけ現実離れした設定でも、そこに生きた存在がいることを納得させてしまう。それはある種、俳優というより媒体としての強さであり、彼が演じることで物語そのものが深みを持ち始める。

 そんな菅田の表現は、もちろん俳優業にとどまらない。2017年の「見たこともない景色」から本格的にスタートした音楽活動も、すでに確固たる地位を築いている。米津玄師プロデュースの「まちがいさがし」、映画『STAND BY ME ドラえもん2』の主題歌「虹」、さらにはアルバム『COLLAGE』『SPIN』など、数々の楽曲がリリースされるたびに、彼の内面や思考の一端に触れることができるような感覚に陥る。

菅田将暉と小松菜奈は“全力でぶつかり合える”関係性 初共演から今後の活躍までを追う

11月15日、菅田将暉と小松菜奈が結婚したことをそれぞれのSNSや所属事務所を通して発表した。  発表があった日の深夜1時、自…

 2021年、小松菜奈との結婚が発表されたとき、世間は「理想のカップルがついに」と沸き立った。けれど、当人たちが発した「戦友であり、心の支えであり、これからは家族になります」という言葉の方が、とても印象に残っている。役を通じて知り合い、同じ空気を吸ってきたからこその信頼。私たちはそこに、単なる“芸能人夫婦”ではなく、確かな人生の重なりを見たような気がした。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる