Travis Japan 松田元太、“二刀流”で築いた現在地 『人事の人見』で光る自然体な演技力

年上の既婚女性との恋に落ちる医大生・大原耕二役を演じた『東京タワー』(テレビ朝日系)では、1週間で10kgの減量を行うなど、徹底した役作りに挑戦。キャラクターの危うさと純粋さを行き来する難役を、繊細な感情表現で乗りこなし、俳優としての存在感をより強固なものにした。台詞よりも息遣いや瞳の揺らぎで“葛藤”を伝えるような場面も多く、若者ならではの不安定さをリアルに映し出していた。
松田元太、『東京タワー』で“落ちる”視聴者続出!? 永瀬廉演じる透との対比が生む面白さ
今期ドラマの中でもSNSを筆頭に話題を集めているのが『東京タワー』(テレビ朝日系)だ。本作は江國香織の同名人気小説が原作で、20…『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ系)では、納税課職員・増野歩として、生活に困窮する人々と向き合う姿を静かな演技で表現した。どこか無力さを滲ませながらも、相手を思いやる誠実さを滲ませる眼差しには、優しさだけではない複雑な心情が透けて見えた。台詞の裏にある感情をどう伝えるかといった演技の手触りにも、松田の深みが現れていたように思う。
さらにさかのぼれば、映画『君が落とした青空』では、タイムリープという非現実的な設定の中で、現実味のある感情表現に重きを置き、どこかにいそうな青年としての説得力を持たせた。物語に引っ張られるのではなく、人物としてそこに存在すること。その一点に集中したような演技が、作品全体の感情の軸となっていた。このほかにも、『連続ドラマW だから殺せなかった』(WOWOW)で演じた江原陽一郎は、静かな口調の裏に緊張感と葛藤を抱えたキャラクターで、松田の内省的な演技が光った。衝動や焦燥を爆発させるのではなく、むしろ抑えることで湧き上がるものにフォーカスするようなアプローチが印象深い。そうした“静の芝居”の積み重ねが、現在の松田の演技に深みと余白を与えている。
俳優として培った感受性は、Travis Japanとしてのステージにも確かに息づいている。ダンスや歌の一瞬の所作に、演技を思わせる繊細なニュアンスが宿ることがあるのだ。映像とライブ、それぞれのフィールドを行き来する中で、松田はジャンルを越えて表現そのものと向き合い続けている。
ここまでの道のりを振り返ると、松田元太は、“二刀流”という言葉のイメージにとらわれず、俳優とアイドル、それぞれの場で自然体のままに表現を楽しんできたように思う。アイドルとしての彼の華やかさと、俳優としての彼の誠実さ。その両方があるからこそ、彼が表現するキャラクターには説得力が生まれる。そして、そうした一つひとつの役が、観る人の心に届いていく。少しずつ変わりながら、でも変わらず真っ直ぐに進んでいく彼の歩みを、これからも見守っていきたい。
古い熱血体質の残る大企業を舞台にした人間ドラマ。おバカでピュアすぎる主人公・人見廉と、会社を変えたいと願いながら日々奮闘する真野直己が、個性豊かな人事部の面々と共に会社の中で巻き起こる社員のさまざまな問題と向き合いながら、「現代人の悩み」に立ち向かっていく。
■放送情報
『人事の人見』
フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:松田元太(Travis Japan)、前田敦子、桜井日奈子、新納慎也、ヘイテツ、松本まりか、小野武彦、鈴木保奈美、小日向文世ほか
脚本:冨坂友
音楽:カワイヒデヒロ
主題歌:宮本浩次「Today -胸いっぱいの愛を-」(ユニバーサルシグマ)
演出:河野圭太、山内大典
編成企画:草ヶ谷大輔
企画・プロデュース:後藤博幸
プロデュース:橋本芙美、高橋眞智子
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
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