『あなたを奪ったその日から』美海役で大注目! 一色香澄が俳優として目指す夢

新人・一色香澄が俳優として目指す夢

 次々と新たな才能が発掘されていく芸能界において、特別な輝きを放つ俳優が登場した。現在放送中のドラマ『あなたを奪ったその日から』(カンテレ・フジテレビ系)に出演している14歳の一色香澄だ。北川景子演じる主人公・紘海に誘拐されたことを知らずに、娘として生きることになった中越美海の中学時代を演じ、卓越した演技力を披露。『花束みたいな恋をした』『片思い世界』などの土井裕泰監督最新作『平場の月』への出演も決まり、俳優として大きく羽ばたこうとしている。本格的なインタビューは初めてという彼女に、俳優を志した経緯からこれからの夢まで、じっくりと話を聞いた。(編集部)

“母”北川景子からのアドバイス

――『あなたを奪ったその日から』美海役はオーディションでの抜擢だそうですね。

一色香澄(以下、一色):もともと美海ちゃんは「明るくて元気な役です」と聞いていたので、オーディションには「自分の中にある最大限の明るさを出して参加したいな」と思っていました。6~7人のグループ審査だったので、同世代の子たちと一緒に戦うことになって。みんなから学ぶことがすごく多くて、オーディションを通して美海ちゃんという役には「もっと明るさ、元気さ、エネルギーが必要なんだな」と感じていました。

――となると、終わったときにはあまり自信がなかった?

一色:実は、同じグループにすごく明るくて面白い美海ちゃんを演じている子がいて、そのお芝居を見た監督さんやプロデューサーさんがすごく笑っていたんです。そのときに「このまま準備したものを見せても落ちるかもしれない」と感じてしまって、2回目の演技披露を待っているときに「どうしたら一番監督を笑わせられるかな」「この子より面白い美海ちゃんを演じることができるかな」と必死に考えていました。

――もともとの演技プランとは変えて演じたんですね。

一色:そうなんです。オーディションではお小遣いを前借りするシーンがあって、台本には<手を合わせてお願いしている美海>と書かれていたんですけど、監督から「もっとエネルギーを爆発させていい。もっとお願いしてみてほしい」と言われて。「美海ちゃんのちょっと面白い、利発な部分を表現できたらいいな」と思ったので、紘海(北川景子)さんのところに駆け込んで土下座をして頼む、というお芝居を自分で考えて演じました。

――自分から「やってみよう」と思った表現で合格を勝ち取れたとなると、よりうれしいですよね。

一色:土下座をしたときに監督がすごく笑ってくださって、「もしかしたら印象を残せたかもしれない」という達成感があったんです。帰り道にも「オーディション楽しかったな。いい結果につながったらいいな」と思っていたので、合格の知らせを聞いたときにはすごくうれしかったです。

――クランクイン前にはどんなお気持ちでしたか?

一色:ドラマに出られることが楽しみなのと同時に、重要な役どころだということはわかっていたので、「それに応えられるのか……」というプレッシャーもありました。複雑な役だったので、自分の中に“美海ちゃん”という1人の人間をどう落とし込むか、すごく悩みました。

――実際に演じてみて、いかがでしたか?

一色:クランクインの前に本読みがあって、監督の「エネルギーをもっと出してほしいし、テンションも上げてほしいけど、一番は一色さんの思う美海ちゃんを演じてもらうこと」という言葉を聞いたときに、「私の思う美海ちゃんでもいいんだな」と安心しました。撮影に入ってからも、監督たちは私が準備していったものを「いいですね」と尊重して、さらに良くなるようにアドバイスをくださるので、演じていてとても楽しいです。

――前向きになれそうな現場ですね。とはいえ、美海ちゃんは難しい役どころなので、大変なこともたくさんあるのではないかなと。

一色:美海ちゃんは電車オタクなので、長い電車名を早口で言うシーンは毎回苦戦していました。いっぱい噛んでしまうし、セリフを早口で言おうとすると、覚えていたはずなのに頭が真っ白になってしまうこともあって。ただ、「好きなことに一直線」というのは私自身もそうなので、重なる部分もあるかなと思っています。

――そんな美海ちゃんを演じる上で、軸にしていることはありますか?

一色:私は台本を読んでいるので、結末を知ってから第3話や第4話の何も知らない美海ちゃんを演じることになるんですよね。でも、事実を知ってからの美海ちゃんにとっても、愛情を持って育ててくれたお母さんと一緒に過ごしてきた時間は大切なもので。反抗期なので喧嘩をしちゃったり、束縛がきついと思ったりすることもあるけれど、それでも「やっぱりお母さんのことが大好き」という気持ちを大事にしていました。

――お母さんを演じる北川景子さんとのエピソードも聞かせてください。

一色:現場ではお芝居のアドバイスをいただいたり、私の質問にもいろいろと答えてくださったりしました。たとえば「感情があふれるシーンでは撮影の流れのどのタイミングで涙を流すのか、どうやって演じるか」を聞いたときに、「もちろん段取りのときにも気持ちは入れるけど、涙をたくさん流すとメイクも崩れてしまうし、やっぱり本番が一番大事。そこで疲れて涙が出なくなってしまうこともあるので、リハーサルではなるべく泣かないようにしているけど、こういうシーンは溢れちゃうよね」と優しく答えてくださいました。

――「こうしたほうがいいよ」ではなく、「自分はこうしているよ」と。

一色:そうなんです。貴重なお話をたくさん聞かせていただいて、すごくうれしかったです。

――この現場に限らず、一色さんはふだんから気になったことを自分から聞けるタイプですか?

一色:いや、聞けないタイプでした。でも、今回の現場で北川さんが監督に「紘海だったらこういう行動するんじゃないか」といった相談をたくさんされているのを間近で見て、もっと自分からお芝居の提案をしていいし、自分の表現したいものを表現していいんだと。その姿勢から学ぶことがすごく多かったので、そこから私自身も監督や共演者の方々と話す機会が少しずつ増えていきました。

――他の共演者の方とは、どんなお話を?

一色:お好み焼きを作るシーンがあったので、駅員:柊役の小林虎之介さんとは「なんの種類が好き?」とか、ずっとお好み焼きの話をしていました(笑)。小川李奈さんとも一緒だったので、李奈さんとは学校の話とか、プライベートの話もたくさんさせていただきました。

――ちなみにお好み焼きは何が好きなんですか?

一色:広島風お好み焼きが大好きです(笑)。

――わかります、美味しいですよね(笑)。ここからは一色さんご自身のお話も伺いたいのですが、そもそもこの世界を目指したきっかけは?

一色:小さい頃からドラマや映画をよく観ていて、登場人物の気持ちを想像することが大好きだったんです。その当時から、「いつか演じる側に行けたらいいな」とはなんとなく思っていました。私は宮崎に住んでいたんですけど、小6のときにアミューズの今のマネージャーさんと出会って、そのまま所属することになりました。

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