“天才子役”永尾柚乃が『誘拐の日』でさらなる飛躍へ “チビ麻美”から重ねてきた表現力

「本当に子役なのだろうか?」
そんな声がSNSに溢れたのは、2023年の冬のこと。ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)で、主人公・麻美(安藤サクラ)の保育園時代を演じた“チビ麻美”こと永尾柚乃が登場するやいなや、視聴者の間でその存在感が話題となった。
『ブラッシュアップライフ』のチビ麻美は、5歳児の見た目で33歳の中身という、極めてユニークな役どころだった。あどけない笑顔の奥に漂う、妙な達観。台詞の間や目線の使い方に、年齢を越えたようなリアリティが宿っている。演技なのか、素なのか。子どもらしいかわいらしさを通り越して、「これは何か特別なものを観てしまった」と感じた人も少なくなかったはずだ。
だが、その後のキャリアが証明するように、永尾柚乃は“ただ演技がうまい子”ではない。年齢に関係なく、物語を動かす“表現者”としての資質を、すでに持っていた。
『ブラッシュアップライフ』から『嘘解きレトリック』まで 永尾柚乃に漂う大物女優の風格
11月11日に放送されるドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)第6話に、鹿乃子(松本穂香)と千代(片山友希)と偶然出会う少女…『ブラック・ジャック』(テレビ朝日系)では、見た目は少女・中身は18歳というピノコ役を担当。名作の実写化で重圧がかかる中で、素晴らしい演技を見せた。また、映画『ゴールデンカムイ』では、アシリパの従妹・オソマを好演。時代背景や文化的文脈も独特なこの作品で、彼女はのびのびと役を楽しんでいるようだった。コミカルで天真爛漫な振る舞いの裏に、物語の空気をふっと変える不思議な存在感があった。それは「大人顔負けの捜査力を持つ小学1年生」という設定の役でゲスト出演した『科捜研の女 season24』(テレビ朝日系)でも同様だ。その年齢ではあり得ないような“存在の強度”を放っていた。
泉谷星奈、倉田瑛茉、竹澤咲子、永尾柚乃 “次の芦田愛菜”となる天才子役たち
現在のテレビドラマは高い表現力を持った子役が多数活躍しており、安達祐実や芦田愛菜に匹敵する天才子役がいつ爆誕してもおかしくない状…これらに共通するのは、いずれも“実年齢を越えた内面”を要求される役ばかりだということ。そしてそのひとつひとつに、永尾は迷いなく飛び込んでいる。子どもらしさよりも、“複雑さ”が求められるキャラクターばかりを引き寄せること自体が、彼女の演技者としての稀有さを物語っているとも言えるだろう。






















