風間俊介に自分を重ねすぎて辛い 刺さる人には超激薬の『それでも俺は、妻としたい』

しかし、それでも豪太が最後まで本当のクズ男だけにならず、この物語が夫婦の失敗を描くだけにならないのは、そこには確かに愛があるからです。チチクリあってくれてありがとうです。劇中のチカから豪太への「愛ではなくただの執着」という言葉はキツく、その線引き自体は非常に難しいところはありますが、一緒に居続けることで確かに存在する愛があるのも事実だと思います。

本作は脚本・監督・原作を務めている足立紳の“ほぼ実話”とのことで、豪太=足立紳ということになります。「脚本家・足立紳」は紛れもなく成功者であり、国民的番組の朝ドラまで手がけているだけに、本作のその後の物語があるとするならば、豪太は成功することになります。成功することができたのは、100%チカの存在があったからです。その意味では、本作も足立紳から実際の妻への感謝のラブレターともとれなくはありません。
とはいえ、「めでたしめでたし〜」とするには、あまりにもチカに負担がかかり過ぎているし、豪太が甘やかされ過ぎてもいます。その点では、本作を通して、「イライラしかしなかった」という方もいると思います。それでも、それでも自分は本作の描いたファンタジーともいえるリアルを、自分も実体験として経験していることもあり、本作を愛さずにはいられませんでした。そして、より一層、妻を愛したいとも思いました。
それにしても、風間俊介の演技力が恐ろし過ぎます。NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』ではあんなにも知的なイヤな奴なのに、『監察医 朝顔』(フジテレビ系)では本当に優しいよきお父さんなのに、どうしてここまでクズ男になりきれるのでしょうか。風間俊介、そしてMEGUMIの素晴らしい演技を堪能する意味でも、『劇場版 それでも俺は、妻としたい』オススメです。
■公開情報
『劇場版 それでも俺は、妻としたい』
全国公開中
出演:風間俊介、MEGUMI、嶋田鉄太、吉本実憂、熊谷真実、近藤芳正
原作:足立紳『それでも俺は、妻としたい』(新潮文庫刊)
脚本・監督:足立紳
プロデュース:佐藤現、岡本宏毅
プロデューサー:山本博紀、久保和明、寺田ひなた
特別協力:TFC Plus、オムニバスジャパン、足立晃子
エンディングテーマ:どぶろっく「ずっとずっと、ありがとう。」(TEICHIKU ENTERTAINMENT)
制作協力:レオーネ
制作:テレビ大阪/東映ビデオ
製作著作:「それでも俺は、妻としたい」製作委員会
配給:東映ビデオ
2025年/日本/129分/5.1ch/ビスタ/カラー/デジタル
©「それでも俺は、妻としたい」製作委員会
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