風間俊介に自分を重ねすぎて辛い 刺さる人には超激薬の『それでも俺は、妻としたい』

『それでも俺は、妻としたい』が超激薬過ぎた

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替わりでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、妻を愛して10年目の石井が『劇場版 それでも俺は、妻としたい』をプッシュします。

『劇場版 それでも俺は、妻としたい』

〈チチクリあってくれてありがとう〜 チチクリあってくれてありがとう〜〉

 いきなり下ネタのような一文からの開始となりましたが、これは下ネタでもなんでもありません。どぶろっくの楽曲「ずっとずっと、ありがとう。」のサビ歌詞であり、愛を噛みしめる一文なのです。字面だけを見ると危ないとしかいいようがないのですが、彼らの歌唱力と何よりもこの曲が流れるシチュエーション、『それでも俺は、妻としたい』のエンディングに重なると、涙なしには聴けません。よくもこんな名曲をこの歌詞で生み出したのかと改めて感じますが、『それでも俺は、妻としたい』を観た方ならこの思いに共感いただけるはずです。

 「それでも俺は、妻としたい」。この切実さがにじみ出るタイトルだけで喰らう人は喰らってしまうと思います。内容もある意味タイトルそのままではあり、売れない脚本家で人としてもかなり残念な夫・柳田豪太(風間俊介)が、妻・チカ(MEGUMI)にひたすら性生活の改善をお願いし続けるという物語です。2025年1月期にテレビ大阪で放送されたテレビドラマ版を再編集して繋げたのが今回の映画となります。

 私はテレビ放送時にリアタイしていたのですが、改めて劇場版を観るとより重く、深く突き刺さりました。基本的なエピソードは頭に入っていたのに、2時間の映画として1本の作品として観ると、そんじょそこらのホラー映画、サスペンス映画よりも胸が痛みました。人によっては、一切刺さらない方もいると思いますし、嫌悪感を抱く人もいると思います。あるいは、大笑いできる人もいると思います。でも、あまりに残念ながら、主人公・豪太のダメダメな部分は、私が持ち合わせている要素が多過ぎました。

 豪太は年収10万円という、まったく売れない脚本家。家事・育児をしていること、「やりたい仕事を俺はやる」というプライドのもと、バイトもしなければ、脚本家として成功を目指すという気概もありません。あるのはひたすら性欲で、ほぼ1人で家族を養っているチカの気持ちもおかいまいなしに、ひたすら求めます。ハッキリ言ってクズです。さすがに自分はここまでダメ人間ではないと思いたいところではあるのですが、豪太のプライドだけは一人前、自分が被害者ヅラするところ、ご近所さんには見栄を張るところなど、随所に思い当たることがチラホラ……。だからこそ、チカから飛んでくる言葉「本当にクズだな」「ウ◯コみたいなプライド」にグサグサです。

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