トム・クルーズ、パンツ一丁で怒りの説教! とにかく脱ぐ『M:I/ファイナル・レコニング』

もはやシリーズ名物と化した超絶スタントだが、今回も大変な無茶をしている。中盤の大規模な水中撮影も迫力が伝わるものになっているが、やはり白眉はクライマックスの飛行機チェイスだろう。命綱をつけているとはいえ、「死ぬって」と思わざるを得ない。高所恐怖症の人なら直視できないシーンが連発する。
だが、個人的にこれらの強烈なスタント以上に注目したいのが、トムクルさんの脱ぎっぷりの良さだ。本作のトムクルさんは、とにかく脱ぐ。往年の井出らっきょ、もしくは原田泰造くらい脱ぐ。オープニングでもシャツが脱げ気味だが、中盤は物語の都合上、北極圏なのにパンツ一丁になっている時間が非常に長い。「62歳でこんなにパンツ一丁になれるだろうか?」そう胸に手を当てて考えたくなることだろう。そんな飾らない姿のトムクルさんに、悪のAIを崇拝する悪漢が襲い掛かる。するとトムクルさんはパンツ一丁で悪漢を蹴りながら叫ぶのだ。「お前はSNSのやりすぎだ!」。劇場では笑いが起き、同時に、このたったひと言のツッコミで、AIによる人類の破滅という巨大すぎる話の風呂敷が急速に縮んだ。結局のところ「インターネットのやりすぎには注意しましょう!」が本作のテーマなのである。ひと笑いをとり、風呂敷を畳み、なおかつメッセージを叩きつける。3つの動作を同時にやっているこのシーンこそ、本作の裏のクライマックスと言っていいかもしれない。
ハリウッドスターになっても、62歳になっても、ひと笑いのためにパンイチになれる男。それこそがトム・クルーズなのだ。とはいえ、本作は大変な苦労のすえに完成したことは想像に難くない。劇中、イーサンが仲間たちに「とにかく前進するしかない!」とガンギマリの目で吠えるシーンは、演技の領域を超え、映画人トム・クルーズの本音としか思えなかった。大きな仕事は、ひとまず片付いた。良い形に落ち着いた。さすがのトムクルさんとて、お疲れモードだと思う。しばらくはゆっくり休んでほしい。そう思っていたら、『トップガン』のシリーズ第3弾をやるという噂が流れてきた。……トムっ!?
■公開情報
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』
全国公開中
出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、ヴァネッサ・カービー、イーサイ・モラレス、ポム・クレメンティエフ、マリエラ・ガリガ、ヘンリー・ツェニー、ホルト・マッキャラニー、ジャネット・マクティア、ニック・オファーマン、ハンナ・ワディンガム、アンジェラ・バセット、シェー・ウィガム、グレッグ・ターザン・デイヴィス、チャールズ・パーネル、フレデリック・シュミット
監督:クリストファー・マッカリー
配給:東和ピクチャーズ
©2025 PARAMOUNT PICTURES.
公式サイト:missionimpossible.jp
公式X(旧Twitter):@MImovie_jp
公式Instagram:@missionimpossiblejpn
























