いま“ショートアニメ”がアツい! 『ねこおじ』『なんでもいきもの』など注目の5作品

バラエティ番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)内で放送中のアニメ『ねこに転生したおじさん』が、じわじわと人気を集めている。その名のとおり、おじさんが猫に転生してしまうという異色の設定で、拾い主はなんと元上司。猫仲間や人間との交流もにぎやかで、観終えたあとには自然と笑みがこぼれる。猫もかわいいけれど、おじさんもかわいい。そんな絶妙なバランスこそが、本作の魅力だ。
本作はいわゆるショートアニメに分類される。1話数分と短めながら、コンパクトにまとまった構成とテンポの良さが特徴で、「ちょっとしたスキマ時間」にぴったり。通勤前の3分、寝る前の5分。忙しい日々の中でもサッと観られて、しっかり面白い。“小回りの利くエンタメ”として、ショートアニメは今再注目されている。
ショートアニメは、軽く見えて実は奥が深い。尺が短いぶん、限られた時間の中でキャラクターを印象づけ、展開をまとめるには構成力が求められるからだ。その面白さに、YouTubeなどの無料配信をきっかけにライトに楽しんでいたつもりが、いつの間にかどっぷりハマっていた……という体験をしたことがある人も多いのではないか。

そうした構成力とハマりやすさを両立させた作品の代表格として、今やすっかり定番となったのが『ちいかわ』だ。春クールには、過去の名エピソードを厳選したリバイバル放送が行われていたが、中でも特に注目を集めたのが、ちいかわとハチワレの“お誕生日エピソード”。こちらは新規のエピソードで、王子様の衣装やホイップクリーム風のスタイルなど、アニメで動くちいかわたちのビジュアルのインパクトは抜群。「ただ動いているだけで幸せ」という声が出るのも頷ける。『ちいかわ』といえば、ハチワレ役の声優の声変わりがSNSを中心に話題となったことも記憶に新しい。
同じく“癒し枠”として注目されているのが、よこみぞゆり原作の『なんでもいきもの』。こちらは1分間のショートアニメとして、『げっかん!なんものアニメ』が毎月1話ずつ配信されている。作中では、エビームやカニビームといった謎めいた技(?)が唐突に飛び出すなど、一見すると何を伝えたいのか戸惑うこともある。しかし、ゆるっとしたかわいさと、なんとなく許せてしまう不思議な魅力には何度も観返してしまうような中毒性があり、今日もまた“なんものワールド”に癒されてしまうのだ。
ショートという尺を活かして、ギャグに全振りした作品も光る。『えぶりでいホスト』は、元・保険営業の主人公が、ひょんなことからホストクラブで働くことになり、クセの強すぎる先輩たちと繰り広げる騒がしい日々を描いたコメディだ。突飛な設定ながら、描かれるのは案外リアルな人間関係。過剰な演出のなかに、妙に生々しい感情や会話の温度がにじんでくる。
声優陣には下野紘、八代拓、畠中祐、岡本信彦らが揃い、“本気のギャグ芝居”を全開で披露。テンポよく畳みかけるギャグの連発も、長尺では間延びしてしまうところを、ショートアニメならではのコンパクトさで、最後まで心地よくまとめている。笑える会話劇の中に、ささやかな共感がそっと織り込まれていて、観終わると不思議と元気が湧いてくる……そんな一作だ。





















