『君は天国でも美しい』でついに勃発した嫁姑バトル キム・ヘジャの名優っぷりが光る

「死んだらどうなる?」を描いた韓国ドラマ『君は天国でも美しい』がNetflixで独占配信中だ。本作は、主演に渋さと色気が人気の“イケオジ”俳優ソン・ソックと、名優キム・ヘジャを迎えて、年の差夫婦を描いたロマンコメとして人気を博している。配信後にはNetflix世界ランキングの非英語圏トップ10に常にランクインしており、世界的にも好調だ。本稿では、第7話、第8話を中心にご紹介したい。(以下、ネタバレを含みます)
「人生」という長い旅路を終えた老夫婦が天国で再会を果たした。夫のナクジュン(ソン・ソック)は30代の見た目を、妻のヘスク(キム・ヘジャ)は80代の見た目を選択し、ふたりは天国で再び夫婦として共同生活を始める。ヘスクとナクジュンは傍から見ると年の差夫婦だが、仲睦まじく暮らしている。夫婦の様子は天国テレビの討論番組で、「天国での結婚は損か得か」の議題で名指しで紹介されるほど。「年齢や外見なんかじゃない、夫婦としての絆」だと絶賛されるヘスクとナクジュンだが、ナクジュンの母であり、ヘスクの姑ジョングィ(チュ・ミンギョン)がふたりの前に現れてーー。

現世で、ヘスクとナクジュン夫婦は、ジョングィと同居していた過去があり、その頃にヘスクはジョングィから辛く当たられていた。テレビの討論番組でヘスクが天国にいることを知ったジョングィは、ヘスクとナクジュン夫婦の家を訪れる。現世でのジョングィの仕打ちを思い出すヘスクは、ジョングィの訪問を喜ばない。そんなヘスクの姿を見たナクジュンは、母に冷たいヘスクと喧嘩になる。
ジョングィ役で登場したチュ・ミンギョンは、本作の演出を担当するキム・ソギュン監督作品『ヒップタッチの女王』にも出演。本作でソミ役を務めるハン・ジミンと共演し、コミカルな姉御肌の「オンニ」ことオッキ役は記憶に新しい。また、本作の出演者どうしの共演で連想されるのは、同じくキム・ソギュン監督作品の『まぶしくて』だろう。キム・ヘジャ、ハン・ジミン、イ・ジョンウンが共演しており、ハン・ジミンとイ・ジョンウンは母娘であった。

ヘスクとジョングィの嫁姑の確執を、1989年生まれのチュ・ミンギョンが30代の姿をした姑として、1941年生まれのキム・ヘジャ演じる80代の姿の嫁に対する高圧的な物言いを以て視聴者に示す。姑の居丈高な振る舞いに萎縮するヘスク。見た目は姑と嫁が逆の年齢だが、キム・ヘジャとチュ・ミンギョンの芝居が見事で全く違和感なく観ることができる。ソン・ソックが夫と息子、2つの立場にあるナクジュン役として、母と妻の間に挟まれた夫のどっちつかずの苦悩を見せる。

今回は、嫁姑の争いを中心に「縁」と「因果応報」、「輪廻転生」をペットも絡めて描いてみせた。ナクジュンの母であるジョングィと、第1話から登場していた犬のマンドゥ(ユ・ヒョンス)が転生したのだ。天国支援センター長(チョン・ホジン)は、輪廻転生について「重ねてきた悪行を消し去り、善行を積むことが転生の道のり」「転生を経て解決すべき課題もある」とヘスクたちに話して聞かせる。ジョングィも、マンドゥもそれぞれの転生先を選択する理由があり、そこから「新しい生」が始まる。転生したマンドゥにはホロリとさせられた。
ジョングィが転生する前に、これまでの全ての前世の縁を見ることができるシステムがあった。そこでは、ジョングィとナクジュンの縁よりも、ヘスクとの縁が深く何度も繰り返していることを知らされる。親友であったり、敵同士であったり、嫁姑関係が逆転した人生では、現世でのジョングィよりも酷い仕打ちをヘスクがしていたことが明かされる。この場面での名俳優キム・ヘジャの演技は、一瞬のシーンながら、円熟味があり鬼気迫るものだ。ヘスクの愛らしさとは大違いの厳しい姑像は、キム・ヘジャの背後に立ち昇る煙が見えるような圧倒的な存在感だった。本作では、かわいらしい乙女のようなヘスクを演じているが、目だけで瞬時に内面を映し出す凄味のある演技を見せる名俳優だということを再認識させられる。




















