『エイリアン:アース』第5話はノア・ホーリーの“本気回 一気に視点が変わる“どんでん返し”

ディズニープラスで独占配信中の『エイリアン:アース』。『SHOGUN 将軍』のFXが製作を手がけ、エイリアンの生みの親であるリドリー・スコットが製作総指揮を務める本作は、映画批評家サイト「Rotten Tomatoes」で批評家スコア95%フレッシュという、『エイリアン』シリーズの中で最高となるスコア(※9月2日時点)を獲得。第5話は、本シリーズのクリエイターであるノア・ホーリーが第1話ぶりに監督・脚本を務める“本気回”である。そして恐ろしいことに、本作の見え方が180度変わるような“どんでん返し”にも痺れてしまった。
※本稿は『エイリアン:アース』第5話のネタバレを含みます。
結末を知っているのに目が離せない! 圧倒的な緊張感とスリル
第5話では、第1話であえてぼかしたウェイランド・ユタニ社の宇宙船マジノ号が地球に不時着するに至った出来事が描かれる。第1話でも感じたが、改めて古き良きシリーズ第1作『エイリアン』を彷彿とさせる船内や乗組員の雰囲気、そして何より緊張感が凄まじい。地球に不時着し、乗組員がサイボーグのモロー(バボー・シーセイ)以外死んでいることも、もう分かりきっている。そんな結末を知っていてもなお、この船内のシークエンスがスリルに感じられるのは、やはりホーリーの手腕と言うべきか。
ロスト・ボーイズが船内を捜索していた際に見えていた状況の“答え合わせ回”でもあり、そこが面白いポイントでもある第5話。「墜落するって時になぜ手術をしていたんだ?」という疑問や、ゼノモーフ以外の地球外生命体がどうして野放しになってしまったのかなど、考えれば考えるほど「大惨事だったことに違いない……」と納得してしまった物事に対して、想像以上に現場は最悪な状況だったことを教えてくれる。あの吸血虫がサンドイッチに入り込んだり、幼虫を科学者のチブゾ(カレン・オルドリッジ)の飲み水に“大量に”噴射したりする瞬間の映像はトラウマもので、喉の奥で悲鳴をあげてしまった。今でも思い出すだけで気分が悪くなりそうになる。『エイリアン:アース』は本当にこれまでのシリーズにあるようでなかった、“新しい視点のホラー”を天才的な(邪悪な)形で提供してくれる。
しかし、最も興味深いのは、単に火事が起きた過程で宇宙船が壊れ、地球外生命体が放たれ(特にフェイスハガー)、みんなが死に至ったという単純な話ではないところ。“何者かが故意に火事を起こした”、その犯人探しが要素として加わることで、結末を知っていてもその過程への興味がさらに駆り立てられるのだ。サスペンスとしての物語の作り方の巧さそのものが、この第5話に詰まっていると言っても過言ではない。
マジノ号で一体何が起きたのか
さて、実際にマジノ号で起きた壮絶な出来事を振り返っておこう。原因不明の火事が起きたせいで船は故障し、すでに地球に墜落することが決定している。キャプテンのディンスデール(タナポル・チャックスリダ)と乗組員の一人、ブロンスキー(マックス・ラインハート)がフェイスハガーによって寄生されている状況下で、モローは船で内乱が起きていると確信し、パニックを起こさないためにも裏切り者がいることは内密にしようとする。そんな中、寂しさのあまり「船内恋愛は禁止」というユタニ社のポリシーを破って寄生され、中のブロンスキーと寝ていたザヴェリ(リチャ・ムールジャニ)は状況を知る者として、仮キャプテンとなり保安の立場にいるモローと共に事件を解決しようとする。
モローの犯人探しが始まる中、チェストバスターが出てきたことでカウントダウンが始まってしまう。状況を何も知らされていない(それでも十分非常事態ではあるが)船員は、こんなときでも食卓に集まり、雑談する心の余裕があることにも頭を抱えたくなってしまう。この焦りと危機感を、視聴者が唯一共有できる人物としてモローの視点で物語を捉えることができる作りになっているのは上手い。そう見せることが、最終的に大きな意味を持ってくるのだから。























