『君は天国でも美しい』が描く優しい死後の世界観 ソン・ソックの柔和な笑顔も必見

『君は天国でも美しい』が描く、新しい天国

 韓国ドラマ『君は天国でも美しい』が、Netflixで独占配信スタートした。

 不慮の事故で下半身不随となり寝たきりとなった夫・ナクジュンを長年支えたヘスク(キム・ヘジャ)。彼女が80歳で人生を終えてたどり着いたのは、先に亡くなったナクジュンが待つ天国だった。彼との再会を待ちわびていたヘスクだが、目の前に現れたのは30代に若返ったナクジュン(ソン・ソック)だった……。

 本作のように韓国ドラマでファンタジー要素のある作品はたくさんある。しかし天国へ行ったらどんな生活が待っているのかをリアルに描いた作品はなかなか見当たらない。本記事では、『君は天国でも美しい』が、どんな点で一味違うか検証してみたい。

※以下、物語の内容にふれるネタバレあり

 「生きている間に良いことをすれば天国へ行き、悪いことをすれば地獄へ行く」というのは子どもの頃から聞かされている話だ。地獄は炎が燃え盛り、厳しい罰を与えられる怖い場所という認識の人がほとんどだと思う。

 地獄を描いた作品で思い浮かぶのが、映画『神と共に 第一章:罪と罰』だ。新たな人生を始めるために7つの地獄で裁判を受ける男の姿を描いた作品だが、燃え盛る炎や悪霊たちがリアルで背筋が寒くなった人もいるだろう。一般的に地獄を描くほうがドラマチックだし、想像力が掻き立てられやすいので、地獄を舞台にした作品は意外に多い印象がある。

ハリウッド映画の1/10以下の製作費で実現? 『神と共に』キム・ヨンファ監督、撮影の裏側語る

5月24日と6月28日に連続公開される韓国映画『神と共に』より、キム・ヨンファ監督のコメントが公開された。  韓国の人気ウェブ…

 記憶に新しいところでいえば、パク・シネが悪魔を演じた『悪魔なカノジョは裁判官』だ。地獄からやってきた悪魔のビンナ(パク・シネ)が、現世で悪いことをした人間にとことん罰を加え、地獄送りにする物語だ。話の中で天使も登場するが、人間の醜い部分、怨念が嫌というほど出ている作品で、ドラマチックかつ過激な展開にくぎ付けになった人もいるだろう。

 一方で『君は天国でも美しい』で描かれている天国は美しく、お花畑が広がり、時間がゆっくりと流れている。明るい陽射しがさんさんと降り注ぎ、美しい夕焼けをバックに手を繋いで歩くヘスクとナクジュンに心が温まる。まさに私たちが想像していたとおりの世界観だ。

 意外だったのは、市役所のような「天国支援センター」があること、そして「天国でも時間の制限がある」「年齢と体力に合った能力しか備わっていない」「高いところから飛び降りたら現世と同じようにケガをする」といった常識(?)があることだ。天国へ行けば空を飛んだり、時間が永遠に与えられたりするものだと思っていたが、どうやらそのあたりは違うみたいだ。

 なるほど、天国とはそういうところなのかと興味深く観る一方で、地獄の様子を描くエキサイティングな雰囲気はないな……と感じる人も少なくないだろう。しかし天国の生活に戸惑うヘスクを通じ、夫婦とは何か、生きるとは何かを教えてくれる心にジワっとくる物語になる予感がする。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる