『続・続・最後から二番目の恋』が描く“年をとること”の尊さ 白本彩奈が見せた美しい涙

『最後から二番目の恋』年をとることの尊さ

 『続・続・最後から二番目の恋』第5話のサブタイトルは、「そっか、年をとるって、悪くないかもね」だった。

 前作から11年、60歳を超えた和平(中井貴一)と、あと1年で定年というところまできた千明(小泉今日子)は、今話で和平の一人娘・えりな(白本彩奈)とお酒を飲み交わすシーンがあった。そこでえりなが語ったのは、和平と仕事仲間がえりなのことを「依存度が高いファザコン気味な娘」として話していたのを、海辺でよく出会う青年・優斗(西垣匠)が聞いたということ。その嘘を知った時に、えりなは「最初はちょっとイラっとしたものの、むしろかわいいなと思った。そして、申し訳ないと思った」と言うのだった。

 そして、えりなは「私は今の親子関係悪くないなと思っていて」と話し出す。「1人で溜め込んで、時々お父さんに当たってたなって思う、ごめん」と反抗期の時のことを謝罪したのだ。そして、このシーンの最後えりなはこう締めくくる。「人としては好きだな。それじゃ、ダメですか? お父さん」と。

 ここで、えりなを演じている白本彩奈が、泣くまいとしているのにもかかわらず、込み上げてくる涙を止められない、少しずつ声を震わせていく様子がなんとも美しい。素直になりきれず、父の前では良いところを見せようとして、なかなか照れ臭くて胸中を話せないような父娘の関係性を、目を瞑ってしんみりと話を聞く和平役の中井貴一と共に「年をとる」ことの良さを描いていたように感じた。

 また別の日、和平は鎌倉市役所で律子(石田ひかり)に遭遇。律子はそこで、彼女の亡くなった夫の話をし出す。「私、すごく真面目で。それは正しいことなのか、常に考えていて。考えて、正しい選択をしてきたつもりなんです」と話す。しかし、律子は亡くなった夫の知られざる一面を知った今「自分を壊したいんです! 間違ったこと、どうなの? それってことを言いたい、したい! でなきゃやってられない!」と息巻いて見せたのだ。これも「年をとる」ことで、新たな道があることに気づいたエピソードの1つだろう。

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