『あんぱん』のぶは“お国のために”、嵩は“自由を提唱” 戦争を通して描かれる対照的な正義

『あんぱん』のぶと嵩の対照的な“正義”

 朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)の第6週「くるしむのか愛するのか」は、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)、蘭子(河合優実)と豪(細田佳央太)がそれぞれ対照的に描かれている。豪にとっては奉公先の“お嬢さん”だけれど“同じ匂い”を感じる蘭子とようやく思いを伝え合うことができた第29話。

 出征の前に、蘭子と一緒に足摺岬で暮らす祖母の元へ向かった汽車のシーンを最後に、第30話で豪の登場はピタッとなくなる。『あさイチ』(NHK総合)「プレミアムトーク」に細田佳央太が出演(髪が長い……!)することでの“フラグ”は今後訪れる嫌な予感がする一方、第30話でのぶと嵩の心がすれ違ってしまう。

 女子師範学校で愛する祖国のために全身全霊で尽くす心“忠君愛国”を叩き込まれてきたのぶ。国のために命がけで働く人たちに慰問袋を作り、休日には街中で献金を呼びかるのぶの様子が写真付きで新聞に掲載され、校内では“愛国の鑑”として讃えられていた。朝田家でものぶのことを誇らしく思っている中で、生徒や教師たちの注目が自身からのぶへと移っていくことにうさ子(志田彩良)の心境は複雑そうだ。

 東京高等芸術学校に通いながら銀座の街へと繰り出す嵩の様子を、のぶは“嵩子”こと嵩から送られてくる手紙を通じて知っていた。座間(山寺宏一)と軍隊の兵士が店内で言い争っていたシーンが象徴的だが、のぶと嵩は相反する環境に置かれており、自由とは程遠い状況下で必死に自分ができることを探すのぶにとって、嵩の姿は呆れから徐々に憤りへと変わっていた。

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