鈴木亮平が意識する“世界中で誰もやっていない表現” 「“既視感のある演技”をしたくない」

第133回直木賞を受賞した朱川湊人の同名短編集を『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』などの前田哲監督が映画化した『花まんま』は、大阪の下町で暮らす兄妹の姿を描いた人間ドラマだ。鈴木亮平が主演を務め、有村架純と初共演で兄妹役を演じた。情に厚く誰よりも妹想いの兄・加藤俊樹を演じた鈴木に、関西弁での演技や有村との“兄妹の空気”、そして演技についての自身のポリシーについて語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
“フィーリングが合っていた”有村架純との芝居
ーー俊樹は“ザ・関西人”のような、明るくて人間味のあるキャラクターでしたね。鈴木さんの関西弁での演技も印象的でした。
鈴木亮平(以下、鈴木):関西弁を話す役柄は、ドラマでは何度か経験したことがあるんですけど、映画ではあまりなくて。僕自身も非常に新鮮でした。
ーーバラエティ番組などでは関西弁でお話しされたりもしていますよね?
鈴木:東京に出てきてから長いので、基本的には標準語なんですけど、やっぱりその場に関西人がいると自然と戻っちゃうんです。今はちょうど真ん中、どっちもいける感じです(笑)。
ーー今回は監督もそうですが、共演者の方々も関西出身の方が多いですよね。
鈴木:特に監督がコテコテの“大阪人”で、とにかく現場でボケるんです。常に面白いことを言おうとしている人で。無視はできないので、毎回僕がツッコんでいました(笑)。
ーーそこは何でもツッコむ俊樹と同じなんですね。
鈴木:僕自身、変なことをスルーできないタイプで。拾わないと失礼かなって思っちゃうんです。関西人ってそういうとこありますよね。
ーー僕も関西人なのでよくわかります(笑)。
鈴木:監督は、僕らの世代ではもう使わないような言い回しをしたり、本当にコテコテの関西弁なんです。それをどう中和して自然にするかは、現場でずっと考えていましたね(笑)。
ーー同じ関西弁でも違いがあると。普段関西弁を話さない人がお芝居で関西弁を披露されていると違和感を抱くことも多々あるのですが、そういう意味ではこの作品の関西弁は非常に自然に入ってきました。
鈴木:そこは本当に意識しました。誇張しすぎず、かと言って薄めすぎず……。今生きていてもおかしくない人物像でいたいと思っていたので、説得力のある関西弁にしたかったんです。
ーー有村架純さんとは意外にも初共演だったんですね。
鈴木:そうなんです。実は、『阪急電車 片道15分の奇跡』(2011年)という映画に僕も有村さんも出ていたんですけど、同じシーンがなかったので、一緒にお芝居するのは今回が初めてで。有村さんはとにかく責任感が強くて、裏表がない方だなと思いました。関西人なのにそこまでおしゃべりではないんですけど、芯があって柔らかさもある。有村さんは自分のことを「壁があるとよく言われる」と言っていますけど、全然そんな感じはしなかったですね。
ーー実際にお芝居してみていかがでしたか?
鈴木:すごくフィーリングが合っていたので、有村さんと向き合ってお芝居するのは心地良かったですね。兄妹役だからといって、無理に仲良くしようとするわけでもなく、お互い自然と兄妹でいられる感じがあり、最初からちょうどいい距離感でいられたと思います。























