上田麗奈と河瀬茉希がたどり着いた“幸せな世界線” 「私たちって息が合うのね!」

上田麗奈&河瀬茉希の“幸せな世界線”

 「シネフォト部」に所属する女子高生たちを描くTVアニメ『mono』。同作でメインキャラクターのうち「大人組」を演じる上田麗奈(秋山春乃役)と河瀬茉希(駒田華子役)に、演じていく上で苦労したことや、息のあった掛け合いの秘訣など、さまざまな方向から話を聞いた。自身の「週末の過ごし方」を含め、穏やかで温かな日常を切り取る『mono』の魅力に迫る。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

『mono』で感じたお互いの信頼感

(左から)上田麗奈、河瀬茉希

——まず、『mono』という作品の第一印象から聞かせてください

河瀬茉希(以下、河瀬):とても穏やかな日常を描いた作品だなと思いました。あとは、最近(上田)麗奈さんとご一緒した作品がかなり暗めの内容だったので、お互いに全然違う役柄でお会いできたのは光栄でした。

上田麗奈(以下、上田):その時は物理的な距離はすごく近いんだけど、心の距離が遠い役柄でした。本作ではメインキャラの5人の中だと、春乃と華子は同級生でいろいろな意味で距離も近いので、幸せな世界線に来たねって(笑)。

河瀬:あとは、全体的に空気がぽかぽかしていて、「日向にいる」みたいな感覚の作品だなって思います。

上田:タッチや色使い、表情が全部柔らかくて、原作を読ませていただいた時から思っていたんですけど、観ているだけでもとても癒される作品だと思います。旅行している場所もいざ「行こう」って思ったら私たちでも行ける場所だし、実際にあるアイテムで撮影しているんですよね。その私たちとの“近さ”も、癒される要素になってるなって思います。

河瀬:原作が4コママンガなんですが、アニメでもそのリズムが再現されていますよね。穏やかなんだけどお互いにボケたりツッコんだりしていて、すごく自然なんです。5人と一緒に旅行してるっていうよりは、その風景をみんなで見守ってるというか……。そういう空気感がストーリーを通してあるなと感じます。

河瀬茉希

——最近の共演作とは担当キャラの関係が違ったとのことですがが、今回演じる上でお互いの演技をどのように感じましたか?

河瀬:麗奈さんとのお芝居は素晴らしいものが返ってくるという信頼感があるので、『mono』では距離感の近い役柄で面白い掛け合いをずっと続けられて嬉しかったです!

上田:実は春乃さんの役作りで少し悩んでたんですけど、初めて華子ちゃんとの掛け合いをやった時にとても楽にしゃべることができたんですよ。だから、もともとあった茉希ちゃんへの信頼と、この役柄で掛け合った時の気持ちを合わせて「この華子ちゃんとだったら1クール乗り越えられる」って思えました!

河瀬:え〜嬉しい! 大きく書いといてください、太字で!(笑) 

(左から)上田麗奈、河瀬茉希

——お二人で息のあった演技ができたと感じた部分があったら教えてください。

河瀬:華子と春乃の2人は、他の3人とはまたちょっと違う“お姉さん組”という立ち位置なので、すごいありがたい相方だなというか、本当にやりやすいなと思っていました。事前に相談とかしてないのに、いろんなシーンで同じ長さで叫び終わったり、同じトーンで「いただきます」を言ったり。そういうところから「私たちって息が合うのね!」みたいな感動を感じながらやってました。

上田:私はもう意識することさえなかったかも(笑)。ナチュラルすぎて合うって感じでした。全然苦労しなくてありがたかったです。

河瀬:タイミングが合わない時って、「せーの」ってどっちかが言ったりするんですけど、そういうのもなかったですね。私も麗奈さんのおかげですごくやりやすかったです。華子さんは第2話からの登場で、この時はBパートから先に録ってたんですよ。だから第1話とかAパートの雰囲気がわからなかったんですけど、春乃さんがBパートの冒頭で登場していて、その時の掛け合いで温度感とか空気感が伝わってきて。だから麗奈さんが先にレールを敷いてくれたのは本当にありがたかったです。ついていきやすいというか、その作品のテンポとかをわかりやすく示してくれるお芝居なんですよね。私のセリフからのスタートだったら、またちょっと違った雰囲気になっちゃってたのかなと思います。

河瀬茉希の芝居は“想像を超えてくる”

——上田さんが先ほど、役作りに悩んだとおっしゃっていたと思うのですが、『mono』のようなほのぼのとしたコメディ作品での役作りで大変なのはどのようなところでしょうか。

上田:やっぱり、ディレクションをいただいたときに、その引き出しがなかったりとか、自分の解釈との違いを埋めていくのに時間がかかったりする時だと思います。今回だと春乃さんのオーディションのときは、ふわーっとしたというか……のんびり、ゆっくりな感じを出した上で若さもあってほしいっていうディレクションをいただいたんですね。私の感覚でゆっくりすると、どうしても縁側のおばあちゃん感が出ちゃうんですよ(笑)。その中で若さをプラスすると元気さが出て、逆にのんびりした感じが薄れちゃう。第1話のアフレコでは絵が結構大きく動くのとのんびりな演技のバランスを取るのが難しかったなと思いました。

河瀬:私も、監督さんとか音響監督さんがキャラクターのことをすごく考えてきてくださっているからこそ、ディレクションにもこだわりを感じました。麗奈さんが悩んでたのは第2話の収録でちょっと聞いていたんですけど、順調に進んでいたのでその時点では麗奈さんの中でもう掴んでいるものがあったのかなって思ってました。

上田:確かに1話はまだキャラクターを自分の中で咀嚼しきれていない部分はあったんですけど、回を重ねるごとにみんなと掛け合いをしていくなかで自然とバランスを自分の中でも取っていったんだと思うし、スタッフさんのほうでも「春乃さんはこう」っていうのがより固まっていったんだと思います。華子ちゃんと話す時には、同級生だからこそのフランクさがあって、さつきちゃんたち3人と話す時の春乃さんとまたちょっと違う雰囲気になるから、そこも整理されていった感じがあります。

河瀬:私は、華子さんは序盤は結構元気な自由人で、「よし、やっちゃうぞ!」みたいな気持ちでやったら逆に「やりすぎかも」と言われてしまったり、後半に入ると「ちょっと普通かも」と逆になってしまったりしたこともありました(笑)。私は自由でボケに回るキャラはあまりやってこなかったので、まず100%の元気さを出して、やりすぎって言われたら90%に落としてみる、みたいな感じでずっと楽しくやっていました。

上田:華子ちゃんのコメディシーンの振り切りって、いつも想像しているのと全然違うものが飛んで来るんですよ。それも含めて面白かった印象があって、アイデアにあふれている茉希ちゃんの頭の中がどうなってるのか気になりながら演じていました(笑)。

——想像を超えてくるのが河瀬さんのお芝居の特徴なんですね。

上田:そうだと思います。想像していた枠を超えているというか……生っぽいお芝居なんですよね。作品によって生っぽさがどれくらい必要なのかが変わってくると思うんですけど、もともとキャラクターが持っている人間っぽさが乗っていて、立体的な感じがするんです。

河瀬:確かに、あんまりセリフをセリフとして読みたくないなっていうのがお芝居をしている中であります。もちろん違うことは言わないようにはしてるんですけど、音程にとらわれたくないというか。落ち込んでたら語尾が下がるよね、みたいなテンプレって結構あるし、求められたりもするんですけど、相手との距離感とか話してる場所によって逆に明るい話し方の方が暗く聞こえるんじゃないか、とかそういう部分を探るのが好きなんです。『mono』でもそれは意識してたし、「なんでやねん!」ってツッコむときも節をつけたり、さっぱりした感じで言ってみたり、いろいろな質感を出せたら笑ってもらえるかな、ということは考えながら演技していました。

上田:でもそれが奇をてらった感じではないから、聞いていて「こういう人、いるかも……」ってなったりするのがすごく好きですね。

河瀬:麗奈さんにそう言ってもらえるとすごく嬉しいです。褒められると気持ちいいぜ……(笑)。

上田麗奈

——抑揚の付け方にとらわれないで演技にアプローチすることでそれぞれの個性が出るというお話は大変面白いですね。

上田:無理に型にはめようとすると、逆に思った通りのお芝居にならないことも多いですね。そのキャラクターの心情通りの声にならないというか。

河瀬:もちろんキャラクターがこういう気持ちだからこの音が出るっていうのも大事にしつつ、カット割りや劇伴、背景にも寄り添いたいところはあるので、完成品を想像しながらお芝居するということは意識してると思います。演出が想像と違っているときはちゃんと違うって言ってもらえるので、その時は変えていけるようにしています。

上田:茉希ちゃんっていつも絵にすごく寄り添っている役者さんだなって思っていたんですけど、今のお話を聞いて納得しました。オーディションの時も、アニメの映像を見ながらみんなで録っている時も、同じ華子ちゃんなんだけど、映像がない状態だったら全然違う言い方をしていたんだろうな、ということを感じながら一緒にやっていましたね。

河瀬:その意味では、絵コンテとかがかなり進んだ状態でのアフレコだったので、ありがたかったです。お店の大きさとか、キャラクターがどれくらい喜んでいるのかがわかっているのはすごくやりやすかったです。

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