『子宮恋愛』松井愛莉の“憂いの表情”に釘付け まきの想いと“共鳴”するED曲「愛煩い」

『子宮恋愛』松井愛莉の憂いの表情に釘付け

 飄々とした山手の態度はわかりにくいところがあるが、第3話で、まきが食べたがっていた菓子を買ってきて手渡そうしていたところを見ると、もう〈愛煩って 惹かれ合う〉ようなふたりになっているのだろうし、それ以前にまきの心はすでに、〈痛いくらい君を求めてる〉のである。〈ためらう手を優しく攫って もう戻れないの ゆらり揺れる心を離さないでね〉という歌詞はまさに言葉にはできないが、まきが山手に望む“すべて”ではないだろうか。

 興味深いのは、エンディングでは流れていない部分の歌詞にも〈予報外れの雨に ひとり溜め息〉〈写真の中で 置き去りの幸せ〉といったドラマの場面を連想させるフレーズや言葉が含まれているところだ。

 恭一は傘を忘れた日に降ってきた雨で、大学時代の寄島(吉本美憂)とのことを思い出し、彼女に淡い思いを抱いていたことを窺わせていたし、山手は急な雨による気圧の変化によって体調を崩しやすく、会社内でため息をついていた。そして、うまくいっていない恭一とまきの寝室にも、夫婦であるがなんとなくギクシャクした雰囲気のある寄島と澤田(越村友一)の家にも“幸せな時”を思わせるように結婚写真が飾ってあった。

 さらに、〈私の人生を生きるのは 誰かじゃない 私しかいないでしょ?〉という、まきの子宮が最初に反応した山手の言葉を思わせるものも。このエンディングテーマには、まきの心だけではなく登場人物たちの複雑な心境が歌われている。だからこそ、今後、この曲がドラマの中でどのように流れるのかに注目したくなってしまう。

 子宮が恋をしてしまうのは本能でもあるから、ある意味、避けようのないことだ。でも、その本能のままに不倫へと突っ走るのか、どうにか折り合いをつけて、まきにとっての恭一のように、一緒に人生を歩んでいくと決めた人と寄り添うのかを決めるのは、その人である。まきがどちらを選ぶのか、毎回、この「愛煩い」を最後に聴きながら見守っていくしかない。

『子宮恋愛』の画像

子宮恋愛

結婚して6年が経つにもかかわらず、夫にすら本音が言えない日々に悩む主人公・苫田まきが、“子宮が恋をした”男性に出会ってしまう。ホルモンバランスも理想の夫婦像も崩れた女性の“切ない大人の恋模様を描き出す。

■放送情報
『子宮恋愛』
読売テレビにて、毎週木曜24:59〜放送
TVer、ytv MyDo!にて見逃し配信あり
出演:松井愛莉、大貫勇輔、沢村玲(ONE N’ ONLY)、吉本実憂ほか
原作:佐々江典子『子宮恋愛』(ぶんか社刊)
監督:樹下直美、伊藤彰記、保母海里風
脚本:山﨑佐保子
OP主題歌:ONE N’ ONLY「Bittersweet」(SDR)
ED主題歌:Faulieu.「愛煩い」(Faulieu. Record)
制作プロダクション:日テレアックスオン
製作:「子宮恋愛」製作委員会
©佐々江典子/ぶんか社/「子宮恋愛」製作委員会
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/shikyurenai/
公式X(旧Twitter):https://x.com/dramaDIVE_ytv
公式Instagram:https://www.instagram.com/drama.dive
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@drama_dive

 

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