『あんぱん』が描いた呪縛からの解放 母との2度目の別れの先に“嵩”北村匠海を待つものは

『あんぱん』が描いた“呪縛”からの解放

 朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)第4週のタイトルは「なにをして生きるのか」。学校の先生になるため女子師範学校を目指し見事合格を果たしたのぶ(今田美桜)とは対照的に、漫画という好きなものはあるにせよ、目標が見出せないまま登美子(松嶋菜々子)を笑顔にしたいという一心で高知第一高等学校を受験し不合格となってしまった嵩(北村匠海)。朝田家と柳井家とで明暗がはっきりと分かれる結果となってしまった。

 第4週全体で印象的に描かれているのは、嵩が悩みに悩む思春期真っ只中の姿。千尋(中沢元紀)への劣等感を抱き、「こんな情けねえ俺! もうやだよ! やだやだ! うわ〜!」と線路の上で叫んでは、千尋との取っ組み合いの喧嘩。一方で、4コマ漫画には女学生の前でカッコつけた第一高等学校での嵩に、のぶがパンを投げ、それを嵩がキャッチし、「合格はこのパンのおかげだね」と笑う、嵩自身の妄想を描いており、どこか“認められたい”という思いが透けて見えてくる。

 家族からの期待を一身に背負いながらも、嵩は不合格に。登美子を笑顔にするというせめてもの目標も叶えられないまま、登美子は夜明けに柳井家を出て行ってしまう。嵩にとっては母との2度目の別れだ。

松嶋菜々子、『あんぱん』登美子役で大切にしたことは? 「発想が少し独特なのかな」

NHK連続テレビ小説『あんぱん』に出演している松嶋菜々子のインタビューコメントが公開された。  朝ドラ第112作目となる本作は…

 嵩は、寛(竹野内豊)に1年浪人することを承諾してもらったことを話し、「次こそ高知第一高等学校に受かってみせるから」と、登美子をなんとか引き止めようとする。しかし登美子は「1年なんて、待てないわ。もういいわ。好きにしなさい。私の言いなりになるなって千尋にも言われたでしょ? 2人ともこのおなかを痛めて産んだ子なのにね。じゃあね、嵩。ごきげんよう。さようなら」と告げ、御免与町を去って行った。

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