『君は天国でも美しい』が描く優しい死後の世界観 ソン・ソックの柔和な笑顔も必見

『君は天国でも美しい』が描く、新しい天国

 あの世と現世を描くファンタジー系の韓国ドラマが数多くある中で、筆者が『君は天国でも美しい』を観て感じたのは、さまざまな愛の形が描かれる、これまでにないヒューマンドラマということだ。

 ファンタジー系のドラマの多くは、あの世の人が現世にやってきて課せられたミッションを繰り広げたり、現世の人があの世の人と交流したりするケースが多い。

 例えば、コ・スとホ・ジュノがバディを組み、無念の死を遂げた人たちが集まる村で生活する『ミッシング~彼らがいた~』『ミッシング2~彼らがいた~』だ。現世で生きているウク(コ・ス)とパンソク(ホ・ジュノ)は、ある事情から死者が見える特殊な能力を持ち、無念の死を遂げた人たちが集まる村で、彼らが成仏できるように奔走する。

 天国ではないけれど、死者が住む村は穏やかで美しい。しかしそこに住む人たちは心に深い傷を持ち、自らの意思に反して人生を強制的に断ち切られた人たちばかりだ。もちろん温かい気持ちになるシーンもあり、愛も描かれているが、人の運命や人間の残酷さがより強く垣間見えるので、つらい気持ちになる。

 ところが『君は天国でも美しい』では、夫との再会を待っていたヘスクと、80歳の姿で天国にやってきたヘスクに生前と変わらない愛情を注ぐ30代のナクジュンとの温かなやり取りが描かれる。愛おしそうに妻・ヘスクを見つめるソン・ソックの笑顔、そしてヘスクを演じるキム・ヘジャのかわいらしさが素敵で、ほっこりした気分になる。

 2人のチャーミングなやり取りだけでなく、飼い主がペットと再会するシーンで号泣した人もいるだろう。「元気になったんだね」「走れるようになったんだね」「待っていてくれたんだね」とペットに話しかける姿は、愛に満ち溢れている。実際にヘスクも生前飼っていた愛猫(しかも人間になっていた!)と再会している。

 現世で愛情をかけたペットと天国で再会できるのなら、その日のために毎日を一生懸命生きようと決意する人もいるのではないだろうか。「死」を恐怖や悲しみとして描くことが多い中、愛と希望が持てる作品に仕上げているのが『君は天国でも美しい』なのだ。

 もちろん第3話以降、天国でもさまざまなハプニングが描かれていくだろう。突然現れてナクジュンに抱きついた謎の女性(ハン・ジミン)が何者か気になるし、ヘスクを失い悲しみに暮れていたヨンエ(イ・ジョンウン)がどうなったのかも気がかりだ。

 そして80歳の姿のままのヘスクと30代の姿のナクジュンが「見た目は歳の差夫婦」として、天国でどう生きていくのか。楽しみが尽きない作品が誕生した。

■配信情報
Netflixシリーズ『君は天国でも美しい』
Netflixにて独占配信中
脚本:イ・ナムギュ
出演:ソン・ソック、キム・ヘジャ、ハン・ジミン、イ・ジョンウン 、チョン・ホジン、リュ・ドックァン
(写真はJTBC公式サイトより)

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