『私の解放日誌』魔性の男“ク”を演じるソン・ソックの魅力 空虚な瞳で母性をくすぐる

『私の解放日誌』ソン・ソックの魔性な魅力

 多くの人々の心の中に刻まれた名作『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』の脚本家パク・ヘヨンの新作『私の解放日誌』が、口コミで人気を集めている。 分析機関グッドデータコーポレーションが発表したドラマTV話題性部門で3週連続1位を占めている本作で、4週連続ドラマ出演者話題性部門で1位を獲得し、今本国で爆発的な話題性を誇っているのがソン・ソックだ。日本ではそれほど知名度が高くはなかったが、今作で彼は強烈なオーラで視聴者の視線を独占している。

 米ドラマ『センス8』で本格的に俳優デビューした彼は、日本ドラマの韓国リメイク作『マザー~無償の愛~』で冷酷で残忍な児童虐待犯の役で強烈な印象を残した。以後、同じく日本の名作ドラマ『最高の離婚』の韓国リメイクでは、『私の解放日誌』でヨム家の長女を演じるイ・エルと夫婦役を演じている。不思議なオーラで母性本能をくすぐる魔性の男を魅力いっぱいに演じ、第55回百想芸術大賞でテレビ部門男性新人演技賞にノミネートされた。

 彼が大きく注目を浴びたのは、『サバイバー:宿命の大統領』の韓国版リメイク作である『サバイバー 60日間の大統領』だろう。劇中、チ・ジニが演じる政治感覚ゼロの大統領代行を支える秘書チャ・ヨンジン役を演じ、冷静さと情熱を併せ持つ絶妙なキャラクターを完成させた。また、今年の百想で作品賞を受賞した『D.P. -脱走兵追跡官-』の憲兵隊司令官、イム・ジソプ役で「善と悪が共存する顔」を存分に生かしたキャラクターを表現したのも記憶に新しい。そんな彼が、自身でも「人生作(この俳優といえばこのドラマが浮かぶほど、人々の記憶の中に残る作品)」に認め、格別な愛情を示しているのが『私の解放日誌』のク役だ。(※1)

 『私の解放日誌』は、繰り返される日常に空虚さを感じ、不幸な人生から“解放”されることを望む3兄妹の話だ。序盤は、暗く憂鬱な雰囲気で始まった本作品だが、現代人の心の隙間にそっと寄り添ってくるようなセリフたちと共感を呼ぶ4人のキャラクターたちの活躍で、次第に視聴者をグイグイ引き込んでいった。

 ソン・ソックはその中でも劇を導いていく重要な役割を果たしている。いつ来たかも、なぜ来たのかも分からないよそ者の彼の存在は、平凡な田舎町の中でまさにミステリーだ。クは、村で最小限の会話しかせず、日中は畑仕事や仕事をし、夜はひたすらに酒を飲む生活。何も言わなくても闇を漂わせ、諦めた瞳で人生を見下ろしている。3兄妹の末っ子ミジョン(キム・ジウォン)から言われた「私を崇めて」という衝撃的な一言から、徐々に心を動かしていく。回を重ねるごとに彼の隠された顔が明らかになっていくが、ソン・ソック自身のミステリアスでセクシーな魅力も加わり、唯一無二の「人間フェロモン、ク氏」を完成させた。ただならぬ雰囲気を漂わせながらも、上目遣いで“崇め”、携帯の辞書で「崇める」の言葉の意味を調べ、突然会社まで迎えに行く。クールさと可愛さのギャップに翻弄され、観終わる頃には俳優ソン・ソックの虜になってしまうはずだ。

・参考
※1. https://vop.co.kr/A00001613379.html

■配信情報
『私の解放日誌』(全16話)
Netflixにて配信中(毎週日曜、月曜に最新話配信)
脚本:パク・ヘヨン
監督:キム・ソクユン
出演者:イ・ミンギ、キム・ジウォン、ソン・ソック、イ・エルほか
(写真はJTBC公式サイトより)

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