『名探偵コナン 14番目の標的』が映す毛利一家の絆 小五郎&英理の不器用な夫婦愛にも注目

妃英理に向けられる不器用な愛情
推理こそ杜撰で、数々の事件を迷宮入りにしてきたと目暮に言われてしまうところもあるが、それでも小五郎は優秀な刑事だった。しかし、人質に発砲したことが警視庁で問題視され、この直後に小五郎は刑事を辞めることに。そして同時期に妻の英理とも別居してしまうのだが、その背景には彼女への不器用な愛情があった。
怪我をした英理が、その日の夜に足を痛めながらも感謝の気持ちを込めて料理を作ったのに対し、「こんなもん作るぐらいならさっさと寝てろ」と怒鳴る小五郎。これは彼女に安静にしてほしいという意味で彼の言った言葉だったが、英理はせっかくの手料理を「こんなもん」と言われたことに激怒し、家を出ていってしまう。これには本作でコナンも言及しているように英理の手料理が美味しくないことも関わっており、彼女の料理下手はその後も度々2人の口論の原因となっている。
結婚してから8年、共に暮らしていた頃の2人は仲睦まじく、小五郎が出かける際に英理がネクタイを直してあげるほど夫婦仲は円満だった。その後、先述の1件による大喧嘩が決め手となり10年別居している状態だが、お互いまだ愛し合っていることは本作をはじめ、普段のアニメ回でも強調されている。英理もプライドが高いため、常に小五郎に嫌味を言ってしまう癖があるのだが本当は乙女な一面もあり、そろそろ家に戻ってこようか迷いをみせることも。小五郎が「そろそろ限界なんだよ」と復縁を求めた時には、聞こえないふりをして内心喜ぶなど、少しツンデレを拗らせている部分も多い。それでも、『14番目の標的』ではディナー中に2人で歳を重ねたことを笑ったり、15年前に公園で並んでチョコを食べた思い出話をしたり、英理が銃を向けられたことの真意を理解するなど、2人が純粋に夫婦として会話をしている時間が描かれているのが素敵だ。
そんな2人のかすがいとなる蘭の家族想いな一面も強調される『14番目の標的』。妻に対して不器用ながら愛を貫く小五郎や、小言を言いながらも夫を信じている英理、普段より積極的に捜査に加わる蘭など、毛利一家が一丸となる様子が本作の最大の魅力と言っても過言ではないだろう。
■放送情報
劇場版『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』
日本テレビ系にて、4月4日(金)21:00〜22:54放送
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:こだま兼嗣
脚本:古内一成
音楽:大野克夫
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、山口勝平、神谷明、茶風林、塩沢兼人、緒方賢一、高木渉、大谷育江、岩居由希子、高島雅羅
©1998 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・東宝・TMS






















