寛一郎、『べらぼう』で際立つ“品格”と“存在感” 富本豊志太夫役で確かな実力を示す

さて、寛一郎はすでにいくつもの代表作を持っていると冒頭に記したが、彼が私たちの前に姿を現したのは2017年のこと。『心が叫びたがってるんだ。』(2017年)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017年)、『菊とギロチン』(2018年)と、デビューから立て続けに話題作で主要な役どころを務め上げ、近年は北野武監督の『首』(2023年)や2024年の映画界を席巻した『ナミビアの砂漠』(2024年)でも大役をまっとう。2024年末に公開された『グランメゾン・パリ』の大ヒットにも貢献している。リアルタイムで彼の活動を追ってきた者からすれば、俳優デビューを果たしたのがまだ最近のことのように感じるものだが、この8年ほどの期間で寛一郎は間違いなく映画界の重要人物となった。これに異を唱える映画ファンはいないだろう。

主演を務めた映画『シサㇺ』(2024年)の公開時に私はインタビューをしているのだが、そのときの彼の姿が非常に印象に残っている。自分の演じる役だけでなく、作品全体についてももちろんのこと、その背景にまで思いを巡らせる。他者の人生を背負う俳優ならば当然の姿勢なのだろう。けれども寛一郎の場合はその純度が極めて高い。演じることに真摯で、それこそ豊志太夫のように品格がある。彼が若くして現在のポジションに立つことができている理由が、『べらぼう』でより多くの人々に伝わるはずである。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2025/01/post-1896658.html
■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
総合:毎週日曜20:00〜放送/翌週土曜13:05〜再放送
BS:毎週日曜18:00〜放送
BSP4K:毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK