『リトル・マーメイド』実写版とアニメの違いとは? ヴィランやプリンスの立場に変化

『リトル・マーメイド』実写版での変更点は?

 また、クラシックに続き本作でも音楽製作を担当したアラン・メンケンだが、実写化に際し新たなナンバーを書き下ろした。それがアリエルとロマンスを繰り広げる王子エリックのソロナンバー「まだ見ぬ世界へ」、アリエルが足を得て初めて陸に上がったとき、逸り踊る心を歌う「何もかも初めて」だ。アランとともにタッグを組み、『モアナと伝説の海』(2017年)で音楽を担当したリン・マニュエル=ミランダも、アリエルの仲間スカットルがラップをする「スカットル・スクープ!!」を実写版のために書き下ろした。

 「何もかも初めて」に対して、リンはこのように言っている。

「オリジナルアニメーションにはなくて、今回、新たに加えられたエキサイティングなシークエンスは、アリエルが両足を獲得したときの心情が描かれている点です」

豊原江理佳 - 何もかも初めて (From 『リトル・マーメイド』/日本語版)

 アースラとの契約によって両足を得る代わりに声を失ったアリエルは、陸に上がっても高揚する感情を伝えるすべを持たなかった。しかし、実写版では“心の声”として『何もかも初めて』を歌い上げることにより、観客はよりアリエルの感情に心を寄せやすくなる。

 「まだ見ぬ世界へ」に対しても、リンは「この曲はエリック王子が抱いている感情の深みを新鮮な角度で切り取っています」と語り、続いてアランが「これはアリエルとの恋愛であるとともに、海に対するロマンでもある」と語っている。(※いずれも公式パンフレットインタビューより)

 エリック王子には国を統治するセリーナ女王の養子であるというアニメ版にはない設定が付け加えられ、彼の「小さな国にとどまらず大海に出たい」「もっと世界を知りたい」という冒険心や好奇心をアリエルとリンクさせることで、ロマンスの筋書きをより明確にしている。なぜ彼らは惹かれ合ったのか。その運命に思いをはせながら、ぜひ書き下ろされた楽曲を聴いてみてほしい。

 音楽はもちろん、伝統であるところは失わずそのままリスペクトを込めて残し、かつ新しい風も取り入れ、リイマジネーションされた実写版『リトル・マーメイド』。アニメ版を何度も観ているディズニーファンにも、また今回初めて物語に触れる人にも、ぜひ最後まで楽しんで観てもらいたいと思う。

■放送情報
『リトル・マーメイド』
日本テレビ系にて、3月21日(金)21:00〜23:39放送
※放送枠45分拡大
※初放送・本編ノーカット
監督:ロブ・マーシャル
脚本:デヴィッド・マギー
原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
製作:マーク・プラット、リン=マニュエル・ミランダ、ロブ・マーシャル、ジョン・デルーカ
製作総指揮:ジェフリー・シルヴァー
プロダクション・デザイナー:ジョン・マイヤー
衣装デザイナー:コリーン・アトウッド
歌/音楽:アラン・メンケン
作詞:ハワード・アシュマン、リン=マニュエル・ミランダ
出演:ハリー・ベイリー (豊原江理佳)、ダヴィード・ディグス(木村昴)、ジェイコブ・トレンブレイ(野地祐翔)、オークワフィナ(高乃麗)、ジョナ・ハウアー=キング(海宝直人)、アート・マリク(仲野裕)、ノーマ・ドゥメズウェニ(塩田朋子)、ハビエル・バルデム(大塚明夫)、メリッサ・マッカーシー(浦嶋りんこ)
©2025 Disney

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