『おむすび』脚本・根本ノンジが麻生久美子に託した思い “本物”となった米田家の涙

NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。
第24週のタイトルは「家族って何なん?」。結が管理栄養士として、両親を亡くした少女・田原詩(大島美優)と向き合う一方で、愛子(麻生久美子)は糸島でひとり暮らす佳代(宮崎美子)と一緒に住みたいと考えるようになっていた。

一度は聖人(北村有起哉)に“どさくさに紛れて”糸島への移住を提案するも、相手にしてもらえず。聖人の神戸に対する気持ちを知っている愛子は思い悩むが、第119話で佳代の「やればやるほどやりたいことが出てくる」「私の大事な娘」という言葉に、あらためて糸島行きを決意。休日に家族を集めると、聖人に対してまっすぐに「聖人さん、私と一緒に糸島に住んでください」と伝えるのだった。
制作統括の真鍋斎は「あのシーンは、我々もとても大事にしていました。愛子は18歳で家を出て、それ以来、実親とはまったく会うことがなかったことを後悔している。だからこそ“土地”よりも“誰と一緒にいるか”で自分の居場所を考える人で、とにかく人間同士の繋がりを大切にしてきたわけです。その中で、母である佳代が糸島にいたい理由を理解して、そここそが自分の故郷だと聖人に伝えると。それは、このドラマがずっと描いてきた他人を放っておけない精神であり、“人と人を結んでいく”ということなんだと思います」と、脚本家・根本ノンジが愛子に託した思いを語る。
実は、このシーンで麻生と北村はクランクアップ。真鍋は「麻生さんはとても気合いが入っていたと思います。その前のシーンについて、少しセリフのニュアンスを変えてはどうかと演出家から私に相談があり、俳優の皆さんともやりとりをしましたが、『私はこのまま、今の流れを大事にしたいです』と麻生さんがおっしゃったんです。麻生さんは、演出家やプロデューサーの現場での小さな要望にも可能な限り応えてくださる方なんですが、ここは根本さんの脚本を最大限に尊重したいと。麻生さんご自身が台本を読まれて、愛子の思いを感じたからこそだと思いましたので、一言一句セリフを変えずにやっていただきました」と舞台裏を明かす。