ジャック・タンが語る、『Brother ブラザー 富都のふたり』でウー・カンレンから学んだこと

ウー・カンレンと築いた兄弟のような信頼関係
ーージャックさんご自身はアディに共感するところはありましたか?
ジャック・タン:アディと僕には似ているところもありました。実は、僕も学生の頃、かなりやんちゃだったんです(笑)。でも、ジン・オング監督と出会って、いろんなことを教わって、そこから変わっていったんです。監督からは人間としてあるべき姿を学びました。
ーー具体的にどういうことを学んだんですか?
ジャック・タン:僕はかつて、自分の感情を表に出しやすい傾向がありました。ある映画の撮影中、かけるべき音楽がうまくかからないときがあって、現場が止まってしまったことがあったんです。僕はそれに対しての不満を態度に出してしまいました。そのときに監督から「そういうことは態度に出すものではない。現場のみんなに迷惑がかかる」と注意を受けました。いまとなっては当たり前のことですが、そのときの自分の行動についてはとても反省しましたし、しっかりと直接注意してくれた監督には感謝の気持ちしかありません。
ーーそういった役者としての姿勢も監督から学んだわけですね。アバン役のウー・カンレンさんとは本作が初共演になりましたが、台湾映画界のスターでもある彼の印象を教えてください。
ジャック・タン:ウー・カンレンさんとは、撮影が始まる1カ月半前から、ほとんど毎日一緒にいました。一緒に町に行ってご飯を食べたり、手話の勉強をしたり、富都を散歩したりしました。僕が車を運転して、一緒にドライブをしたりもしました。通訳さんも入れず、2人きりで行動することがほとんどでしたね。そうやって言葉がいらずとも、兄弟のように分かり合える関係を築いていきました。あまりに一緒にいる時間が多かったので、ウー・カンレンさんを独り占めしてしまって他のスタッフやキャストのみなさんに申し訳なかったと思っています(笑)。
ーー(笑)。お芝居に関してはいかがでしたか?
ジャック・タン:とにかく素晴らしかったです。ウー・カンレンさんは経験も豊富なので、いろんなことを学ばせていただきました。彼はとにかく真面目で、自分に対して厳しくストイックでした。それと、事前の準備が本当に凄かった。自分が最高の演技をするために、例えば「ちゃんと手話を習いたい」など、スタッフの方たちに自分の求めていることをはっきり伝えるんです。僕はいままで、スタッフの方たちにあまり自分が求めることをリクエストしてこなかったのですが、ウー・カンレンさんのそういう姿を見て、いい演技をするために必要なことは自分もきちんとリクエストしていこうという考え方になりました。ウー・カンレンさんからは本当に多くのことを学びましたし、とても貴重な経験だったと感じています。
ーー今後もいろいろなプロジェクトが控えていると思いますが、最後に俳優としてのビジョンを教えてください。
ジャック・タン:自分に制限を設けたくないと思っています。常に目標を持って、その目標に向かって絶えずチャレンジを続けていきたいです。嬉しいことに、この作品をきっかけに仕事の幅もかなり広がりました。この日本でのプロモーションを終えたら、香港へ行って新しい映画の撮影に入るんです。こうやってどんどんステップアップして、限界を決めずに常に新しい挑戦を続けていきたいと思っています。
■公開情報
『Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり』
全国公開中
出演:ウー・カンレン、ジャック・タン、タン・キムワン、セレーン・リム
監督・脚本 : ジン・オング
プロデューサー : アンジェリカ・リー、アレックス・C・ロー
撮影 : カルティク・ヴィジャイ
編集 : スー・ムンタイ
音楽 : 片山凉太、ウェン・フン
主題歌:「一路以来」片山凉太
挿入歌:「千言萬語」(歌唱:ユン・メイシン、編曲:片山凉太/ウェン・フン)
配給:リアリーライクフィルムズ
2023年/マレーシア・台湾/手話・マレー語・中国語・広東語・英語/115分/原題:富都青年/英題:Abang Adik/2.35:1/5.1ch/DCP&Blu-ray
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公式サイト:https://www.reallylikefilms.com/brother-pudu