『恋するムービー』『コーヒープリンス1号店』『蝶の眠り』 キム・ジェウクの圧倒的な存在感

キム・ジェウク、『恋するムービー』で存在感

 2019年には、ロコクイーンのパク・ミニョンとダブル主演した『彼女の私生活』で、美術館館長ライアン・ゴールド役を務めたキム・ジェウク。パク・ミニョン扮する部下でアイドルオタクのソン・ドクミと織り成す、スウィートな恋愛模様にときめく女性が続出した。2022年には、『クレイジーラブ』で殺人予告を受けるIQ190の数学の天才で予備校の代表ノ・ゴジン役に。サスペンスタッチになったかと思いきや、ガールズグループ・f(x)のメンバーとしても活動していたクリスタル演じる秘書イ・シナに別荘に乗り込まれ、ひたすら罵られるシーンは笑いをこらえられなかった面白い作品だ。

 2023年には、『もうすぐ死にます』で、主演のソ・イングク演じるチェ・イジェが転生しながらも壮絶な死を遂げていくなかで、イジェの転生者で天才画家ながら最恐の殺人者であるチャン・ギュチョル役に。『ボイス~112の奇跡〜』の恐怖を彷彿させる役柄で、本来上品な印象のあるキム・ジェウクがとことん吹っ切れた芝居で、血飛沫が飛び散る残忍なシーンなどをやってのけた。ギュチョルとキム・ジフン扮するパク・テウのサイコパス対決がある意味、見どころでもあるのだが、しんどい時には少々ヘビーすぎるかもしれない。

『蝶の眠り』©︎2017 SIGLO, KING RECORDS, ZOA FILMS

 ドラマを中心に振り返ってきたが、ここで映画も一つ取り上げたい。中山美穂と共演した、2017年の日韓合作映画『蝶の眠り』(2017年)だ。キム・ジェウクは、アルツハイマーを煩う小説家の松村涼子(中山美穂)の助手で、韓国人留学生のソ・チャネを演じている。チョン・ジェウン監督以外、スタッフも共演者も日本人、日本で撮影されたという同作は、彼の日本語での芝居がもっとも見られる作品でもあり、抒情的な世界観は彼によく似合っていた。年齢差や立場を乗り越えて惹かれ合いながらもすれ違うふたりの恋が切なく、時を経て再会し、チャネが慟哭するシーンでは、渾身の演技で惹きつけたキム・ジェウク。中山美穂の儚さにも見入った。

 最新作の『恋するムービー』では、また新しい魅力を見せたキム・ジェウク。スマートな役から殺人鬼まで、多彩な顔を見せる彼から、これからも目が離せない。

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