鳥山明の命日に完結 『ドラゴンボールDAIMA』は最後まで“鳥山ワールド”ゼンカイだった

鳥山明の命日に完結『ドラゴンボールDAIMA』

 『ドラゴンボールDAIMA』の最終話が2月28日に放送された。放送が終わった3月1日は漫画『DRAGON BALL(ドラゴンボール)』の原作者であり、『ドラゴンボールDAIMA』のストーリー・設定・キャラクターデザインを手掛けた鳥山明の命日。偶然なのか、それとも必然なのか。彼の創造した世界観とキャラクターたちが、長年にわたり世代を超えて愛され続けてきたことを考えれば、この放送はまさに“必然”と言えるだろう。

 『ドラゴンボールDAIMA』は鳥山明の遺作。『ドラゴンボールGT』のコンセプトを彷彿とさせつつも鳥山自身による“もう一つのドラゴンボール”だった。劇中では少年姿の悟空や魔界の新キャラクターが登場し、彼らを巻き込みつつラスボスであるゴマーを全員で協力して闘うという少年漫画の王道のようなストーリー展開に毎週目頭が熱くなった。そして終盤では超サイヤ人4が登場したことにより、超サイヤ人4がドラゴンボールの正史に載ったことはとても感慨深いものがある。最終話のタイトル「ゼンカイ」は悟空たちの全開でもあり、鳥山が歩んできた生き方をも表しているように思えた。

 最終話の前半に関しては悟空とゴマーの一騎打ちがじっくりと描かれた。ドラゴンボールの力で無事に大人へと戻った悟空は超サイヤ人4へと変身し、サードアイの力でパワーアップしたゴマーとも互角の戦いを見せる。悟空が放った本気のかめはめ波はサードアイの力を持ったゴマーのお腹を突き破って、大魔界の階層をも貫通する威力。それに乗じて機を伺っていたピッコロがゴマーの頭の後ろを3回叩こうとするが、それもあえなく失敗に終わる。しかし、ここで思わぬ活躍をしたのが魔神クウだった。アリンスに言われた通りにゴマーの頭を魔導書で叩くのだ。すると、サードアイはゴマーの額からポロッとこぼれ落ち、ゴマーはもとの小さい姿へと戻る。

 悟空がゴマーを倒すという王道展開ではなく、最後の最後にいいところを脇役(十分強烈なキャラクターではあるが)がもっていくのが実にドラゴンボールらしい。思えば、魔神クウは戦闘力こそ魔人ドゥーには劣るものの、タマガミ・ナンバー・ワンの試練で高い計算能力を発揮し、アリンスでさえも時間がかかる魔導書をものすごいスピードで読み解くなど、随所で高い能力を見せてきた。ファンの間では隠れた人気キャラだけに、最後に活躍の場が与えられたことが嬉しい。

 そして、ゴマーを自らの手で倒した魔神クウは大魔王になるというサプライズも。次々と適材適所に人材を配置していく魔神クウは、実はトップに立つのにふさわしい人物なのでは。カリスマ性こそないが、これまで卑下されてきた第3魔界のカダン王を大臣に配置するあたり、今後の魔界の勢力図を大きく変えていきそうな期待がある。

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