沢城みゆきの魅力が凝縮 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』“母”ロレインの数奇な運命

2月7日から3週連続で放送中の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で、大きな話題を呼んでいる『バック・トゥ・ザ・フューチャー』新吹替版。宮野真守がマーティ、山寺宏一がドクを演じる豪華なキャストで、2月21日、いよいよ最終章『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』の放送を迎える。
宮野と山寺が演じるマーティとドクの掛け合いが好評を博す中、『PART1』『PART2』を観たファンから同じく大きな反響を集めているのが、沢城みゆきが演じるロレインだ。その理由は「観ればわかる」と言いたくなるほどに、物語の重要な軸となるマーティの母親を、時代や状況による変化も含めて、見事に演じ分けているのである。
美しい妖艶な声で、中性的なキャラクターから、セクシーキャラまで幅広い役柄を演じてきた沢城。『ゲゲゲの鬼太郎』第6期の鬼太郎役での中性的な低音、『ルパン三世』の峰不二子で魅せる中音のセクシーな女性像、『鬼滅の刃』の堕姫役における高めの音の若い女性など、その演技の幅広さには定評がある。

そんな沢城の演技が光を放つのが、今回の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』新吹替版だ。『PART1』の物語開始時点での1985年のロレインは、酒を飲みがちで中年太りの堅物な母親。男女交際に関してはやたらと小言を並べ立てる声からは、典型的な中年の母親らしさが浮かび上がる。一方、1955年にタイムスリップしたマーティが出会う若きロレインは、息子が仰天するほど奔放で可憐な女子高生だ。「カルバン・クライン」ことマーティに一目惚れし、積極的に好意を寄せる様子は、沢城の声によって一層愛らしく表現されている。
さらに、マーティが戻った新しい1985年でのロレインの変化にも注目したい。若い頃と変わらぬ体型と美貌を保ち、男女交際にも理解のある開放的な母親となった彼女を、沢城は若々しさと大人の余裕を併せ持つ声で表現。マーティの恋人ジェニファーへの好意的な態度にも、温かみのある声色が効果的に使われている。