『秘密』『約ネバ』『ブルーピリオド』 板垣李光人ד漫画原作モノ”が生む説得力

ただ、再現性の高さはビジュアル面だけに留まらない。薪は一見冷徹にも思える言動の裏に、親友や部下への愛情を秘めた難しい役どころだ。そこで活きてくるのが、板垣の繊細な芝居。これまでも板垣は気が強く、生意気に見えがちな役を演じてきた。『silent』(フジテレビ系)で演じた光は、姉・紬(川口春奈)の元恋人である想(目黒連)に対してツンケンした態度を取る。しかしながら、そこには姉を心配する弟としての思いやりや、紬が想と別れた後に付き合った湊斗(鈴鹿央士)を慕う気持ちの表れであり、板垣の演技には光がただ想を嫌っているように見えない工夫がされていた。
映画『ブルーピリオド』で演じた世田介は美術予備校でずば抜けた画力を誇り、主人公・八虎(眞栄田郷敦)のライバルとなる存在。他人と慣れ合うことを嫌い、自分の才能を鼻にかけているようにも見えるが、その裏で抱える天才ゆえの孤独や葛藤を板垣がしっかりと表現してくれていたおかげで人間味のあるキャラクターになっていた。

そのように、板垣は言葉や態度とは裏腹な感情を滲ませるのが抜群に上手い役者である。薪も部下に対して激しく叱責することもあるが、そこにちゃんと愛情が感じられるのでパワハラには見えない。第3話で第九に新たに着任した新米捜査官・青木(中島裕翔)に厳しい態度を取るのも、3年前、快楽殺人鬼・貝沼(國村隼)の脳を見たことで錯乱し、薪が葬った鈴木(中島裕翔、二役)と重なるから。その出来事は薪に強烈なトラウマを植え付けた。本当は誰よりも繊細で、鈴木のことになると普段の冷静さを失うこともある薪。その激しい感情の起伏も、板垣は痛ましく感じられるほどに表現してくれている。10歳でデビューし、若手ながら長いキャリアを持つ板垣だが、本作は間違いなく代表作の1つとして語り継がれていくだろう。
参照
※ https://rankingoo.net/articles/actor/04406a
人気漫画『秘密-トップ・シークレット-』を実写ドラマ化するヒューマンサスペンス。科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”を舞台に、室長の薪剛と新米捜査員の青木一行のバディが、解決不可能とされていた事件の真相を解き明かしていく。
■放送情報
『秘密~THE TOP SECRET~』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00~22:54放送
出演:板垣李光人、中島裕翔、門脇麦、高橋努、鳴海唯、利重剛、眞島秀和、國村隼ほか
原作:清水玲子『秘密-トップ・シークレット-』『秘密 season0』(白泉社『メロディ』連載)
脚本:佐藤嗣麻子
演出:松本佳奈、宝来忠昭、根本和政、稲留武
プロデューサー:豊福陽子、近藤匡、近藤多聞
音楽:小島裕規“Yaffle”
主題歌:「Iris」BUDDiiS(SDR inc.)
制作協力:C&Iエンタテインメント
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
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