『ズートピア2』ジュディ&ニックの“友情”は健在 ルッキズムやジェンダーの描き方を紐解く

ディズニー・アニメーション作品としては『アナと雪の女王』シリーズに次ぐ、10億ドル超えの大ヒット作として知られる『ズートピア』(2016年)。そんな同作の約9年ぶりとなる続編『ズートピア2』が現在大ヒット公開中。
『ズートピア』の制作チームは『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年)も手掛けていたため、制作には少し時間がかかってしまったものの、その間にもダークホースコミックス出版の『Disney Zootopia: A Hard Day's Work』やジュディとニックがバディになった直後を描いた、ダイナマイト出版の『ズートピア』シリーズなど、日本ではあまり知られていないが、複数のサイドストーリーが描かれてきた。それに加えて短編のミニシリーズ『ズートピア+』も配信されるなど、ファンの支持も熱く持続的であった。日本でも公開前夜祭には、20時開始という遅い時間ながら、自ら持参したグッズを持った多くの観客が押し寄せていて、『ズートピア』人気を改めて思い知らされた。
制作サイドとして前作から大きく変わった点といえば、共同監督のひとりで『シンプソンズ』や『フューチュラマ』といったマット・グレイニング作品を手掛けていたリッチ・ムーアが離脱してしまったことだ。それが影響しているのか、若干、風刺的な側面が薄れている感じはするものの、今作では、ズートピアという国がアメリカを象徴していることを改めて感じさせるような、土地開発によって外に追いやられた先住民問題が描かれている。それに加え、薄れているとはいえども、あくまで若干レベルであって、前作同様に、ルッキズムやステレオタイプからの脱却など社会派な視点も多く含まれていた。
ルッキズムの描き方

とくにルッキズムの部分は強く描かれていて、今作のメインキャラクターとして登場するヘビのゲイリー含め、爬虫類全般が見た目で怖くて邪悪な存在だと判断されていたことがそれを物語っている。作中では、過去のカメ殺人事件が原因で印象を悪くしたのが理由だと説明されるものの、そこには外見に対しての偏見も交じっている。例えば単純に考えて、イヌとヘビを同じようにかわいがれない人が大多数のように、見た目で判断してしまっている部分はどうしてもあるわけで、結局のところ外見がもたらすイメージが偏見や差別に繋がる。それは人間社会においても同じことだ。
そんな社会派なメッセージの一方で、冒頭から、いかにもカートゥーン的だと思わせるスピーディーなカーチェイスシーンが盛り込まれるなど、視覚的な楽しみも増していることもあって、ファミリー層がより楽しめる作品としてバランスも考えられていた。その結果、トータルパッケージとしては全く質は落ちておらず、『ズートピア』らしい、エンタメと風刺が調和した物語となっている。























