エディ・レッドメインの多彩な魅力を紐解く ホーキング博士から暗殺者“ジャッカル”まで

大絶賛されている英国のドラマ『ジャッカルの日』が、いよいよ日本でもWOWOWで2月22日より放送開始。WOWOWオンデマンドでは、21日より第1~3話が先行配信される。フレデリック・フォーサイスによる同名の政治スリラー小説と、フレッド・ジンネマン監督によるその映画化作品(1973年)を原作としながら、内容を大幅に現代的にアップデートした物語だ。
原作小説および1973年版の映画では、暗殺者「ジャッカル」のターゲットはフランス大統領シャルル・ド・ゴールであり、暗殺を未然に防ごうとジャッカルを追うのはフランス警察の刑事だった。本作のジャッカルのターゲットは、世界経済の大変革(あるいは大混乱?)を導くだろうシステムを発表しようとしている、IT業界の風雲児。ジャッカルを執拗に追うのは、英国の諜報機関MI6の女性エージェント、ビアンカ。ジャッカルとビアンカそれぞれの背景が詳細に描きこまれ、追う者と追われる者の駆け引きと、それにともなうスリルが、巧みな脚本で積み上げられていく。
ラシャーナ・リンチ×エディ・レッドメインが生む“極限の緊張感”

ビアンカ役はマーベル映画でマリア・ランボーを、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)でノーミを演じたことで、アクションの経験も豊富なラシャーナ・リンチ。ジャッカル役はエディ・レッドメイン――と言ったら意外に思う人も多いだろうか。

エディ・レッドメインと言えば『ファンタスティック・ビースト』シリーズ(2016年〜)の主人公、ニュート・スキャマンダーであり、『シカゴ7裁判』(2020年)のトム・ヘイデンであり、『レ・ミゼラブル』(2012年)のマリウス・ポンメルシーであり、『マリリン 7日間の恋』(2011年)でマリリン・モンローと恋に落ちるコリン・クラークだった。まっすぐな性格で人好きのする人物を演じることが主であり、そばかすの目立つ、どこか少年のような雰囲気をいつまでも残しているレッドメインが、クールな暗殺者を演じるとは想像しがたいかもしれない。それに何より彼は、あまり「男性的」に見えるタイプではないから、カネをもらって人を殺す血まみれの人物を演じるというのも、ピンとこない人がいるかもしれない。
エディ・レッドメインが紡いできたキャラクターの本質

とはいえ、レッドメインが「何でもできる」有能な俳優であることは、これまで複数の作品で証明されてきたとおりだ。出世作『博士と彼女のセオリー』(2014年)では、スティーヴン・ホーキングの衰えていく身体と、それに反して、決して衰えることのない知性と情熱とユーモアとを完璧に体現してみせた。『リリーのすべて』(2015年)での性別不合(性別違和)の画家も、同様に身体が変化していく役だった。変化する外面と、ナイーヴで清廉な内面とを、繊細に表現する演技は忘れがたい(また、この演技が絶賛されたにもかかわらず、「(トランスの俳優の機会を奪う行為だから)この役を受けるべきではなかったと思う」とのちにコメントしていることは、彼の聡明さを物語っているだろう)。

これらの作品を振り返ってみると、レッドメインの演じてきた役のおおよその傾向が見えてくる。彼が演じてきたのは「自分の気持ちにあくまで忠実な人物」であり、「愛する者と、愛する自分の気持ちとを守りとおそうとする人物」である。この2点は、彼が演じたジャッカルにもおおいに当てはまる。





















