台湾BL『僕らも知らない僕ら』が描く愛のかたち WOWOWに“尊すぎるアジアドラマ”が集結

WOWOWでは3月より幻の中華ブロマンス『光・淵(こうえん)』が独占初放送・配信される。それに先駆け、WOWOWオンデマンドでは1月から「ずっと観ていたい... 尊すぎるアジアドラマ集結!」と題し、豪華な特集が行われている。
現在配信中の作品の中での注目は、台湾発のBLドラマだ。本記事ではいくつかある作品の中から、『鎮魂』や『山河令』などブロマンスドラマを生み出してきたpriestの小説を映像化した『僕らも知らない僕ら-UNKNOWN-』をご紹介したい。
クリス・チウ×シュエン・ホアンの絶妙な演技が胸を打つ

両親を亡くし、妹・小宝(シャオ・バオ/演:タミー・リン)と2人でなんとか生活していた魏謙(ウェイ・チエン/演:クリス・チウ)。毎日苦しい生活だったが、魏謙は路頭に迷った男の子を放っておけず、“魏之遠(ウェイ・ジーユエン/演:シュエン・ホアン)”と名付けて招き入れ、3人で暮らしていくことを決める。そして月日が経ち、大学生になった魏謙は、友人の三胖(サンパン/演:キム・ジェフン)とともにアプリ開発会社に入社。一方で立派な大学生となった魏之遠は、今も昔も変わらず自分と妹のために尽くす魏謙の力になりたいと思っていた。
日本でも俳優として活躍するYUがメインキャストとして出演し、台湾で大ヒットしたドラマ『We Best Love 永遠の1位』の制作チームが携わっている本作。魏謙を演じるクリス・チウは喧嘩シーンやシャワーシーンで彫刻のような肉体も披露。そして弟・魏之遠には若手俳優のシュエン・ホアンが抜擢された。

まるで本当の兄弟のような空気感で、遠慮のないやり取りが繰り広げられるが、やがて魏謙と魏之遠の間に違和感が生まれ、視聴者としても苦しさを感じずにいられなくなる。それは、彼らの演技とバランスが優れているからだろう。
魏謙と魏之遠を阻む苦しさ、心の葛藤
本作で強く焦点が当てられているのは、魏謙と魏之遠の心の葛藤だ。「好き」「嫌い」という単純な感情だけではなく、お互いの立場や気遣いから様々な感情が生まれ、どれだけ時間が経っても解決することはない。
その軌跡を辿るかのように、第1話から第6話の前半にかけて、今に至るまでの彼らの歴史が描かれる。特に魏謙が魏之遠を助けるため、チンピラたちと迷わず勝負しに行くシーンでは、魏謙がどれだ魏之遠を大切に想っているかが表れている。孤独だった魏之遠もそこで“愛情”の意味を理解したのではないだろうか。

幼い頃の魏之遠は、家族への愛情として魏謙を慕っているようにも見えたが、顔つきや態度によって、次第にその愛の形が変化していくのがわかる。しかし家族として暮らしている今、魏謙に素直に気持ちを伝えることは難しく、その葛藤が魏之遠をさらに苦しくさせていく。今まで一緒に暮らしてきたからこそ芽生えた感情ではあるが、血が繋がっていないからこそ、別の形で出会っていたらここまで複雑ではなかったかもしれない。家族としての愛情で留まるべきなのか、恋を続けるべきなのか。きっと魏之遠の心の葛藤が伝染し、2人の行方を最後まで見守りたくなることだろう。