佐藤浩市になぜ引き込まれるのか 『119 エマージェンシーコール』で際立つ映画俳優の存在感

佐藤浩市、『119』で放つ映画俳優の存在感 

 そんなシリアスな深みのある演技が生きる作品だけでなく、佐藤の魅力はコメディ作品にも詰まっている。映画『ザ・マジックアワー』では、売れない役者の村田に。ある日、彼の元に主演作の依頼が舞い込んでくるが、実はそれは映画の撮影ではなく、「幻の殺し屋デラ富樫を連れて来い」とギャングに命令された男が、殺し屋として村田を差し出そうと騙していただけだった。しかし映画を愛する村田は、騙されているとは知らず、殺し屋役を真剣に取り組み、その“偽”映画に再起をかけている。一部始終を見ている視聴者と村田自身の認識の差が面白さを生むのだ。少しおバカにも真面目にも見える村田の性格をしっかりと落とし込んだ演技を見せた佐藤は、その他『THE 有頂天ホテル』や『記憶にございません!』など三谷幸喜作品に多数出演。キャラクターの特徴だけでなく、重厚な雰囲気を持つ佐藤がコメディ作品に出演するというギャップが、さらなる滑稽さを生み出していると言える。

 そんな佐藤は『119』で、堂島として、また俳優として、チームに安心感を与えている。映画やドラマを通して人々の心を芯から動かし、勇気と希望を与えてきた佐藤だからこそ、堂島という役にさらなる説得力をもたらしているのだろう。“じわじわ”ではなく、“一気に”映画やドラマの世界に引きずり込むような佐藤の存在感は、これからも『119』の中で大きなものになるに違いない。

『119エマージェンシーコール』の画像

119エマージェンシーコール

消防局の通信指令センターを舞台に、個性的な指令管制員(ディスパッチャー)たちが、困難な状況にチームとして立ち向かう中で、それぞれに抱える葛藤や問題を乗り越えて成長していく群像劇。

■放送情報
『119エマージェンシーコール』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:清野菜名、瀬戸康史、見上愛、一ノ瀬颯、前原滉、酒井大成、三浦獠太、蓮佛美沙子
、堀内敬子、遠山俊也、中村ゆり、佐藤浩市
脚本:橋本夏、小柳啓伍
演出:水田成英、並木道子ほか
プロデュース:渡辺恒也
主題歌:羊文学「声」(F.C.L.S./Sony Music Labels)
制作協力:C.A.L
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/119emcall/
公式X(旧Twitter)@drama119_cx
公式Instagram:@drama119_cx
公式TikTok:@drama119_cx

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