『おむすび』渡辺直美が放ったインパクト 「Body Feels EXIT」は歩の人生を象徴する1曲に

渡辺直美が『おむすび』で残したメッセージ

 歩が気にしていたのは、東北の被災地ではアキピーのような仮設住宅に暮らしている人たちが今もいるという現実。今を楽しめない人たちはどうすればいいのか、これまでの信念が揺らいでしまっていた。そんな不安を余所に、アキピーは今もエネルギッシュに生きている。楽しそうに話すのは、12歳になる娘・カナ(米田登貴)の話題。アキピーに影響を受けて、ギャルファッションを好むカナの頭には、歩が送ったハイビスカスの髪飾りが光っていた。それを見て、歩とチャンミカは「何も間違ってなかった」と自分たちの行動を誇りに思う。

 アキピーが歩とチャンミカに思い出させてくれた「つらい時こそ笑おう」という考えは、すぐに薄れていってしまうものだ。不謹慎という理由からエンタメが自粛され、笑うことさえ間違っているのではないかと思うことは、この日本に度々訪れる。それでも小さな幸せを見つけながら、一歩ずつ前に進んでいく。カナにとってのハイビスカスの髪飾りが、その一歩になっていたのではないだろうか。無理やり笑ってでも、悲しいことやつらいことと戦ってきたのは、かつての歩自身でもある。それは結にとっての原点となっている、「おいしいもん食べたら、悲しいこと忘れられる」という言葉とも通じている。

 歩がアキピー、チャンミカ、ルーリー(みりちゃむ)を連れて向かったのはカラオケボックス。安室奈美恵「Body Feels EXIT」の歌詞、〈ここまでどんな道を歩いて/あなたにやっとたどり着いたかを/何か見えずにだけど何かを/見つけたかったよ部屋に1人きり/膝をかかえて動けなくたって body feels!〉が歩のこれまでを思い起こさせる。そして重なるのが、第6週で結たちハギャレンのメンバーが浜崎あゆみ「Boys & Girls」を歌っていたシーン。対照的に描くことによって、第16週が歩の物語だということを印象付けている。

 『あさイチ』の“朝ドラ受け”にて、三谷幸喜が触れていたように、第80話のラストには育児と勉強に集中している結が久々に登場したものの、引き続き第17週も歩が中心のストーリーが展開されていくようだ。

■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、佐野勇斗、仲里依紗、麻生久美子、北村有起哉
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK

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