佐倉綾音、“チャイナ娘”ルー役に込めた覚悟 『SAKAMOTO DAYS』で見せる緻密な役作り

佐倉綾音、『SAKAMOTO DAYS』に挑んだ覚悟

 ルーの喋り方についても、佐倉の丁寧な創意工夫が伺える。「先人たちが演じてきたキャラクターを参考に発音をデフォルメして、無声音のところはわざと無声音にしたり、ちょっと関西弁っぽいイントネーションを入れたり、方法論もメカニズムも存在しない、我流の感覚だけでやっている喋り方なんです」と、芝居に集中できるまで自分のものにしていったという(※2)。こうした緻密な役作りを経て生まれたルーの声を、シンを演じる島﨑と坂本役の杉田との掛け合いとしてTVアニメ本編で堪能できるのは贅沢としか言いようがない。

 これまで放送された話数の中でルーの魅力が特に際立ったのは、第2話のラストシーンだ。一族の家宝が眠る金庫の中で、父が「娘が成人したら一緒に飲むお酒」を残していたことを知ったルー。涙を浮かべながら呟いた「パパらしいネ」という一言には、彼女の素直な感情が溢れ出ていた。

 そんなルーを演じる佐倉は、『五等分の花嫁』中野四葉や『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』一色いろは、『BanG Dream!』美竹蘭、そして『僕のヒーローアカデミア』麗日お茶子など、可愛らしさの中にも芯の強さやかっこよさを備えたヒロインを数多く演じてきた声優である。その実力を知るファンたちが特に期待を寄せているのが、ルーの戦闘シーンだ。

 ルーは「酔拳」の使い手として、お酒を飲むことで戦闘能力が飛躍的に向上するという特徴を持つ。酔った状態では、敵の攻撃を軽々とかわす俊敏さや、予想外の動きで反撃を繰り出すトリッキーな戦い方を見せる。さらに、この状態のルーは泣き上戸になったり笑い上戸になったりと、感情の起伏も激しくなるのが特徴だ。原作ファンの間では、“ルーといえば”な「脚CHU」のシーンがTVアニメでどう表現されるのかに注目が集まっている。

 作中では坂本の妻・葵が登場することから、「ルーが厳密にヒロインポジションなのか」という点では議論の余地があるものの、佐倉の演技によって魅力的に描かれるルーは、TVアニメ版『SAKAMOTO DAYS』において存在感のある重要なキャラクターとして輝きを放っていくに違いない。ファンの期待を背負いながら、佐倉の声によって命を吹き込まれたルーが、“ファミリー”として活躍する姿を坂本家で共に見守っていこう。

参照
※1. https://www.crank-in.net/interview/158761/1
※2. https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1733886944&p=2

■放送情報
『SAKAMOTO DAYS』
テレ東系ほかにて、毎週土曜23:00〜放送
Netflixほか各プラットフォームにて配信
キャスト:杉田智和(坂本太郎)、島﨑信長(朝倉シン)、佐倉綾音(陸少糖)、東山奈央(坂本葵)、木野日菜(坂本花)、鈴木崚汰(眞霜平助)、花江夏樹(南雲)、八代拓(神々廻)、早見沙織(大佛)
原作:鈴木祐斗(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:渡辺正樹
シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン:森山洋
制作:トムス・エンタテインメント
オープニング・テーマ:Vaundy「走れ SAKAMOTO」(SDR/Sony Music Labels Inc.)
©鈴木祐斗/集英社・SAKAMOTO DAYS 製作委員会
公式サイト:https://sakamotodays.jp
公式X(旧Twitter):@SAKAMOTODAYS_PR
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@sakamotodays_pr

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