『フォレスト』岩田剛典演じる純が怪しすぎる 初回からゾワっとするシーンの連続に

「もし愛する人が貴方の知らない顔を持っていたら、変わらずその人を信じ、愛し続けられますか?」と聞かれて、「はい」と即答できる人はどれくらいいるのだろう。愛と嘘が絡み合う究極のラブサスペンス『フォレスト』(ABCテレビ・テレビ朝日系)は、初回からゾワっとするシーンの連続だった。
まず、本作の鍵を握る人物は、岩田剛典が演じている純になってくるだろう。純には、同棲してまもなく1年を迎える恋人・楓(比嘉愛未)がおり、2人で平凡ながらも幸せな生活を送っていた。序盤の純は、まさに理想の彼氏そのもので、いつも美味しそうなご飯を用意して楓の帰宅を待っていてくれる。楓が、「美味しそうだから、買ってきちゃったぁ」と勝手に焼き鳥を買ってきても、「えっ、ご飯準備してんだけど!」と優しく微笑むだけで、決して怒ったりしない。自由奔放な彼女に振り回される彼氏……という構図は、2014年放送のドラマ『ディア・シスター』(フジテレビ系)で岩田が演じていたハチと美咲(石原さとみ)を彷彿とさせる部分があった。
しかし、「家族はいない」と嘘をついていた楓に、有名なホテルグループを経営する母・鈴子(松田美由紀)がいると知った途端に、純はどんどん怪しげな雰囲気を纏っていくように。「ずっとこんな日が続くと思っていた」という楓のモノローグと、「ずっとこんな日が続くはずないと思っていた」という純のモノローグが、対比になっているのもゾッとするポイントのひとつだ。純の表情から察するに、鈴子が経営するホテルグループ・ブランフォレストが計画していたブランフォレストパークに、何らかの恨みを抱いているように思う。だから、運命的な出会いを画策して、楓に近づいたのだろうか。
また、楓の母・鈴子は新世代の毒親だ。近年、毒親というジャンルに当てはまるのは、育児放棄をする親だけではない。鈴子のように、何不自由ない暮らしを与えてきたとしても、「わたしの言うとおりにしたら間違いない」などと言い、過保護に子どもの未来をコントロールしようとする親は、毒親と呼ばれてしまうのだ。ただ、秘書の葉山(堀部圭亮)に頼んで純の身辺調査をしてもらった鈴子は、純の素性をすべて知っているのだろう。だから、楓に「あの男は、あなたを不幸にする」と言い、別れを選択させようとしたのだと思う。しかし、かたくなになっている楓は、「わたしは純と出会って、わたしを取り戻したの。もう、この家にも会社にも戻りません。わたしには、帰りたい場所があるから」と鈴子のアドバイスを聞き入れようとしない。仕方がないことなのかもしれないが、後々「ここで引き返しておけば……」と後悔することになるのだろう。