佐藤健、“白血球アクション”で示した主演俳優の器 『はたらく細胞』ヒットの立役者に

佐藤健、『はたらく細胞』ヒットの立役者に

 片岡愛之助が演じる肺炎球菌や、小沢真珠が演じる黄色ブドウ球菌、仲里依紗が演じるNK細胞、あるいは松本若菜が演じるマクロファージといった存在のほうが、ビジュアル的にキャラクターが立っているし、それぞれの俳優のパフォーマンスも強く印象に残るものになっている。そのような中で、白血球という匿名的な存在でありながら、主人公のひとりとして作品を牽引していくのは並大抵のことではないだろう。それ相応の、主演俳優の器を持った者でなければならないはずだ。それが佐藤健なのである。

 一切の笑顔を見せることがないと先述したように、本作における佐藤の演技はシリアス一辺倒だ。しかしだからこそ、劇中のコミカルな状況とこのキャラクターとの間に自然なズレが生まれ、それが絶妙なおかしみを生み出してもいる。佐藤が体現するシリアスさが、しだいに愛おしくなってくるというものだ。

 それに加えて本作には、佐藤の得意なアクションシーンが数多く用意されている。白血球の仕事は、体に異常をきたす存在たちを残らず排除すること。戦闘シーンでは華麗で豪快なアクションを展開するのだが、この動きの一つひとつに、白血球のほとばしる激情のようなものを感じる。本作の佐藤はセリフや表情ではなくその優れた身体で、演じるキャラクターの感情を表現してみせているのだ。これは『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(2021年)などでも顕著だったものだが、『はたらく細胞』はコミカルな作品であるだけに、より強く感じるのである。これを実現できる主演俳優は、佐藤健のほかにいるだろうか。

■公開情報
『はたらく細胞』
全国公開中
出演:永野芽郁、佐藤健、芦田愛菜、山本耕史、仲里依紗、松本若菜、染谷将太、板垣李光人、加藤諒、加藤清史郎、マイカピュ、深田恭子、片岡愛之助、新納慎也、小沢真珠、Fukase(SEKAI NO OWARI)、阿部サダヲ
原作:清水茜『はたらく細胞』(講談社『月刊少年シリウス』所載)、原田重光・初嘉屋一生・清水茜『はたらく細胞BLACK』(講談社『モーニング』所載)
監督:武内英樹
脚本:徳永友一
音楽:Face 2 fAKE
主題歌:Official髭男dism「50%」(IRORI Records/PONY CANYON Inc.)
配給:ワーナー・ブラザース映画
©清水茜/講談社 ©原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 ©2024映画「はたらく細胞」製作委員会
©2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
IMAX®︎ is a registered trademark of IMAX Corporation.
公式サイト:saibou-movie.com
公式X(旧Twitter):@saibou_movie

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