『ノンレムの窓』では中村倫也と古田新太が“共鳴” バカリズムから視聴者への“問いかけ”

『ノンレムの窓』中村倫也と古田新太が共鳴

 続く第2話「よーい、フィクション!」は、「フェイクニュース」をテーマにしたブラックコメディー。バラエティー番組のディレクター・松永(原田泰造)は上司の保身のために、ある罪を着せられて職を失うが、そんな彼に謎のプロデューサー・矢橋が手を差し伸べる。矢橋役を小雪が演じ、怪しくもどっしりとした存在感を放っている。

 冒頭で報じられる「スキャンダルニュース」には、さっそく「フェイク」と「リアル」を撹乱するある演出が施されており、視聴者の意表を突くだろう。脚本の竹村は過去に『つづ井さん』(読売テレビ)を手がけたほか、『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京系)の構成、 『山田孝之のカンヌ映画祭』(テレビ東京系)の脚本など、数々のモキュメンタリー作品を手がけており、「現実とフィクションの狭間にある“何か”」を描いてきた。こうした題材はまさに、彼の得意分野なのではないだろうか。

 同シリーズで竹村が脚本をつとめた作品には、他に『2023・夏』の「出世したくない君へ」があり、こちらも出色の出来だった。「意識高い系」に憧れる主人公・田前(瀬戸康史)が憧れの女性から「意識高く見せようと必死でダサい」と言われ、「意識を低くするセミナー」に通い始める。「意識が低いもの」として推奨される「あるある」の数々で視聴者を爆笑させながら、鷹揚さの欠落した現代社会を切れ味鋭く風刺していた。

 『ノンレムの窓』も『ブラッシュアップライフ』も、そして「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー」を謳う最新作『ホットスポット』もしかり、「バカリズムブランド」の作品はいつでも「『あるある』と『ないない』の併存」がベースとなっている。突拍子もない設定でありながら人物の会話はリアルで、「“お約束”の反転」が行われる。それはつまり「常識を疑う」ということではなかろうか。エンタメ要素がたっぷりありながら、「あー面白かった」で終わらない。ひとしきり笑わせたあと、必ず「問いかけ」がある。

 長いお正月休みから日常に引き戻された我々の脳に、『ノンレムの窓 2025新春』と『ホットスポット』の2作品はきっと、痛快な風穴を開けてくれることだろう。

参照
※ https://www.ntv.co.jp/nonrem/

■放送情報
『ノンレムの窓2025・新春』
日本テレビ系にて、1月5日(日)22:30~23:25放送
出演:バカリズム(窓先案内人)、斉藤由貴(声のみ出演)
『前の車追ってください』古田新太、中村倫也、梶原善
『よーい、フィクション!』原田泰造、小雪、小手伸也、小松利昌、月島琉衣、崎山つばさ、原菜乃華
脚本:バカリズム(『前の車追ってください』)、竹村武司(『よーい、フィクション!』)
監督:狩山俊輔(『前の車追ってください』)、内田秀美(『よーい、フィクション!』)
総合演出:内田秀実
統括プロデューサー:吉無田剛、櫻井雄一(ソケット)
プロデューサー:鈴木将大、岸根明、佐々木幸司(ソケット)
チーフプロデューサー:松本京子
企画協力:小林伸也(マセキ芸能社)
制作協力:ソケット
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/nonrem/
公式X(旧Twitter):https://x.com/nonremmado_ntv
公式Instagram:https://www.instagram.com/nonremmado_ntv/?hl=ja

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる