“平成”を切り取った名作映画5選 『リング』から『SUNNY 強い気持ち・強い愛』まで

“平成”を切り取った名作映画といえば?

『桐島、部活やめるってよ』(2012年)

 記憶に新しい人もいると思うが、令和に変わる数年前、学生たちの複雑な関係性と繊細な心の内を体現した映画『桐島、部活やめるってよ』が日本アカデミー賞を受賞し、話題になった。

 朝井リョウの同名小説を原作とした本作は、バレー部のエース・桐島が部活を辞めるという学校中が震撼するニュースを軸に、目立たない映画部に属する主人公・前田(神木隆之介)をはじめ、桐島の彼女(山本美月)、仲良しグループに属するかすみ(橋本愛)と沙奈(松岡茉優)など、桐島に直接的に関わる人たちだけでなく、桐島の退部の余波で意図せず翻弄される生徒の視点を描いていく。

神木隆之介はいかにして“国民的俳優”になったのか 成長の背景にあるのは“安心感”?

2005年に公開された『妖怪大戦争』は、神木隆之介が12歳(公開当時)にして単独初主演を務めた作品であり、2000年以降に公開さ…

 本作が公開されたのは2012年。メイクやファッション、髪型、ガラケーなど、平成後期らしさを感じることができる。その一方で、本作が描写するような社会の中での人間関係は、今の時代も大きく変わっているとは言い難い。平成への懐古と共に、今の自分にも沁みるメッセージを感じることができる作品だ。

『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018年)

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」全曲メドレーPV

 韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』の日本リメイク版『SUNNY 強い気持ち・強い愛』もまた、平成を感じることのできる作品だ。

 “コギャル”ブームの中で流行ったルーズソックス、茶髪、ラルフローレンのカーディガン……。そんな平成真っ盛り過ごした高校時代、仲良しだった女子グループ“SUNNY”のメンバーたちが、いろいろな事情を抱えた世代になった今、再集結しようと試みる物語だ。その発端は、グループのリーダーである芹香(板谷由夏)ががんで余命わずかとなってしまったことだった。

 劇中では1990年代をフラッシュバックするような音楽が登場する。安室奈美恵、モーニング娘。をはじめ、久保田利伸の「LA・LA・LA LOVE SONG」、JUDY AND MARY「そばかす」、そして小沢健二「強い気持ち・強い愛」……と今でも世間を魅了する音楽ばかり。何より小室哲哉が劇伴を担当していることも、この映画を語る上で欠かせないポイントだ。リリー・フランキー演じる探偵が話すように、女子高生たちを中心に世間が回っていた、そんな時代を体感することができる。

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