『名探偵コナン』のカップリングが示す時代性 萩原千速×横溝重悟の“令和的”関係を考察

これまで『名探偵コナン』では、さまざまな男女キャラクターのコンビが作中に登場してきた。現在公開中の劇場版最新作『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』でも、神奈川県警の萩原千速と横溝重悟が物語の軸となる存在として脚光を浴びている。
ただしこの2人の関係性は、これまで同シリーズで描かれてきたカップリングとは一味違っているようにも見える。具体的にその描き方の特徴について考えてみたい。

まず『名探偵コナン』の代表的な男女カップリングとしては、工藤新一×毛利蘭、服部平次×遠山和葉、京極真×鈴木園子などが挙げられるだろう。
やや大雑把なまとめ方にはなるが、彼らの共通点は各分野の専門技能を活かして活躍する男性キャラと、そんな相手を精神的な部分で支えるヒロインという役割分担にあるものと思われる。またヒロインが平和な日常を象徴しており、男性キャラにとっての“帰ってくる場所”という立ち位置を占めていることも大きな特徴だ。

そのため一方が守る側、もう一方が守られる側という構図になることも多く、劇場版では新一が蘭、平次が和葉を窮地から救うために奔走するというドラマチックな展開がしばしば描かれてきた。いわば昔ながらの少年マンガの王道を往く関係性といえるだろう。
とはいえ、同シリーズにおけるヒロインの描き方は決してテンプレ的ではない。そもそも蘭は関東大会で優勝するほどの空手の達人で、武器を持った犯人を素手で制圧できるほどたくましいキャラクターなので、“守られるだけ”のヒロインとは明らかに一線を画している。
また性格的な面でも、和葉や園子は勝ち気でしたたかなところがあり、どちらかといえば自分から相手を引っ張っていくようなタイプだ。

そうした意味でより象徴的なのは、佐藤美和子×高木渉のコンビではないだろうか。2人は警視庁捜査一課の刑事として先輩、後輩の間柄。元々は高木の片想いだったが、その後両想いとなり、現在は恋人関係にまで進展している。
体術や拳銃の腕前に優れている佐藤に対して、高木はちょっとドジな刑事というキャラ付け。力関係としては佐藤の側が強く、誘拐されて軟禁状態にある高木のことを身体を張って救いに行く「命をかけた恋愛中継」というエピソードもあった。
2人が体現しているのは、少年マンガ的なヒーローとヒロインの関係性というよりは、やや大人向けの恋愛模様。現代的な価値観に寄り添っているように見えるため、ファンから広く愛されているのも納得だろう。
そんな現代的な男女関係の描き方を、さらに突き詰めているのが、萩原千速×横溝重悟のカップリングだ。





















