すなくじらの「2024年 年間ベストアニメTOP10」　熟成された作品の中で輝くオリアニ

　リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2024年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、アニメの場合は、2024年に日本で劇場公開・放送・配信されたアニメーションから、執筆者が独自の観点で10作品をセレクトする。第6回の選者は、下町育ちのエンタメライターのすなくじら。（編集部）

1. 『夜のクラゲは泳げない』
2. 『黒執事 -寄宿学校編-』
3. 『かつて魔法少女は悪と対峙していた。』
4. 『デリコズ・ナーサリー』
5. 『ぶっちぎり?!』
6. 『ロボット・ドリームズ』
7. 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』
8. 『トラペジウム』
9. 『葬送のフリーレン』第2クール
10. 『響け！ユーフォニアム3』

　2024年のアニメシーンを振り返ると、「熟成された作品たちの映像化」という大きな流れが見えてくる。『黒執事 -寄宿学校編-』は前作の劇場版から7年、『かつて魔法少女は悪と対峙していた。』は企画立ち上げから8年の時を経てようやく実現。

　浅野いにお作品初のアニメ化となる『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』や、末満健一の演劇作品『TRUMPシリーズ』の初のアニメ化など、2024年は長年の作品ファンにとっては「待つ」という行為が実を結んだ年だったのではないか。

　一方、ファンたちの想いとともに育まれてきた作品も多い中、良質なオリジナル作品も誕生している。以下、ベストアニメTOP10のうち上位5作品を解説しよう。

5位『ぶっちぎり?!』

　内海紘子×岸本卓のタッグによるオリジナル作品。中でも圧巻だったのは、エンディング映像でのまほろを中心としたアラビアンナイトの世界観だ。まるで一編の短編アニメを観ているかのような芸術性の高さと美しさに、誰もが目を奪われたのではないだろうか。

　作品の魅力は映像だけに留まらない。最終回直前に開催された応援上映では、会場が熱気に包まれ、SNSでも感想や考察で大いに盛り上がった。摩利人の「あーらてぃーん⭐︎」が新しく聴けなくなってしまった今、作品への愛おしさは募るばかりだ。

4位『デリコズ・ナーサリー』

　演劇『TRUMPシリーズ』のTVアニメに相応しい、緻密に描かれた背景美術の世界観、そして作品のダークな雰囲気を見事に引き立てる音響演出。何より印象的だったのは、父親と接する愛らしい子どもたちの姿だ。アニプレックスが手掛ける2024年の作品群の中でも、『デリコズ・ナーサリー』と『WIND BREAKER』は特に女性ファンからの支持が厚く、まさに“2024年の2強”と呼べる作品だったのではないか。