『海に眠るダイヤモンド』神様からのご褒美のような瞬間に涙 “希望の種”は現代へと続く

『海に眠る』神様からのご褒美のような瞬間

 きっとそれだけ彼らの生きる姿を通じて、私たちの心にも何かが育まれているのだろう。不器用にぶつかりながらも、自分の理想を追いかける。それがどんなに無理だとバカにされても、もがき続けなければ、何も変わらない時代を生きてきた強さだ。「植えたら、最後まで責任があるんですよ」とは、現代を生きる朝子こといづみ(宮本信子)が憤りながら発した言葉だった。お互いに迷惑をかけたりかけられたりしながら、みんなで生きて育っていくことに幸せを噛み締めていた彼女の過去を知るほどに、「管理不要」「コスト削減」と、さも誰の手も借りないことが最も大事なことであるかのように語られる現代を「私の欲しかった人生ってこんなだったのかしら」と憂いてしまう気持ちがわかるような気がした。

 いつかお婿さんになる人と植えたいのだと見せたコスモスの種が鉄平の手に手渡されたときの幸せと、それがそのまま日記に添えられている現実に心が乱れる。植えられることのなかった「希望の種」に、朝子と鉄平に待ち受ける未来を案じずにはいられない。だが、希望はまだある。大切なものを奪われて、それでも歯を食いしばって生きてきた先人たちが未来を繋いでくれたように。その兆しが、鉄平に代わって玲央(神木隆之介/1人2役)が植えた種の芽吹きなのかもしれない。

 好きな園芸に関する会社を成功させたいづみ。彼女が人生でやり残したことといったら、どうなったかわからない鉄平のその後を知ることなのではないか。驚いたことに、いづみが鉄平の日記を手に入れたのは、玲央と出会った年の春のことだという。では、なぜ今になって、そして誰によってあの日記がいづみの手に渡ったのか。あの破られたページは誰の手によってなんのためにそうされたのか。真実を知るのは怖い。けれど、そこには絶望だけではなく、いつか芽吹くかもしれないまた新たな希望の種があることを信じている。

■放送情報
日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:神木隆之介、斎藤工、杉咲花、池田エライザ、清水尋也、中嶋朋子、山本未來、さだまさし、國村隼、土屋太鳳、沢村一樹、宮本信子、尾美としのり、美保純、酒向芳、宮崎吐夢、内藤秀一郎、西垣匠、豆原一成(JO1)、片岡凜
脚本:野木亜紀子
演出:塚原あゆ子、福田亮介、林啓史、府川亮介
プロデュース :新井順子、松本明子
スーパーバイザー:那須田淳、岡崎吉弘
音楽:佐藤直紀
編成:中井芳彦、後藤大希
製作:TBSスパークル、TBS
制作協力:NBC長崎放送
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/umininemuru_diamond_tbs/
公式X(旧Twitter):@umininemuru_tbs
公式Instagram:umininemuru_tbs
公式TikTok:@umininemuru_tbs

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