アメリカ大統領選で映画館は寂しい週末 ハリウッドの深刻な分断、映画界にどう影響する?

アメリカ大統領選で映画館は寂しい週末

 いずれにせよ、今回の選挙では映画業界が懸念したようなパニックは(現時点で)起こっていない。そして、トランプの勝利が今後のアメリカや世界にどのような影響を及ぼすかはまだわからない。その一方で、ハリウッドのセレブリティ、ひいては映画人たちの多くが今回の選挙で少数派だったことが、具体的な結果として示されたことは確かだ。興行を支える観客――言わずもがな、彼らは多種多様な個人の集合である――は、今後どのように映画を観ることになるだろうか?

映画『The Best Christmas Pageant Ever』予告編

 今週のランキングは、キリスト教ベースのクリスマス映画『The Best Christmas Pageant Ever(原題)』が第2位に、A24製作&ヒュー・グラント主演のホラー映画『Heretic(原題)』が第3位にランクイン。ただし前者の週末興行収入には、前週開催されたスニークプレビュー上映のほか、「チケットを1枚買ったら無料鑑賞チケットがついてくる」というインセンティブ上映の数字も含まれているため、単純な比較はフェアではない。

 しかしながら、どちらもオリジナル脚本の新作としては優れたスタートを切ったほか、批評家・観客の評価も上々。両作とも製作費は1000万ドル程度だと伝えられているため、今後の展開しだいでは劇場公開での黒字化もありうる(配信でのコスト回収は確実だろう)。話題作不足ゆえではあるものの、第6位に『Conclave(原題)』、第7位に『ANORA アノーラ』と、賞レースでの活躍が有力視される大人向け作品がランクインしているのも嬉しい傾向だ。

 北米映画市場全体の週末興行収入は約7400万ドル。かろうじて前週の数字は上回ったが、『マーベルズ』が予想を下回る低スタートとなった昨年よりも15%低い。なお、年間興収は昨年の同週と比較して88%程度となっている。

北米映画興行ランキング(11月8日〜11月10日)

1.『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(→前週1位)
1622万ドル(-37.4%)/3905館(-226館)/累計1億1481万ドル/3週/ソニー

2.『The Best Christmas Pageant Ever(原題)』(初登場)
1110万ドル/3020館/累計1110万ドル/1週/ライオンズゲート

3.『Heretic(原題)』(初登場)
1101万ドル/3221館/累計1101万ドル/1週/A24

4.『野生の島のロズ』(↓前週2位)
665万ドル(-10.7%)/3051館(-186館)/累計1億3088万ドル/7週/ユニバーサル

5.『Smile 2(原題)(↓前週3位)
500万ドル(-26%)/2822館(-413館)/累計6054万ドル/4週/パラマウント

6.『Conclave(原題)』(↓前週4位)
410万ドル(-18.6%)/2283館(+487館)/累計2151万ドル/3週/Focus Features

7.『ANORA アノーラ』(↑前週11位)
245万ドル(+36%)/1104館(+851館)/累計721万ドル/4週/Neon

8.『Here(原題)』(↓前週5位)
242万ドル(-50.2%)/2732館(+85館)/累計950万ドル/2週/ソニー

9.『We Live in Time(原題)』(↓前週6位)
221万ドル(-36.4%)/1865館(-1099館)/累計2181万ドル/5週/A24

10.『テリファー 聖夜の悪夢』(↓前週7位)
147万ドル(-54.2%)/1563館(-794館)/累計5331万ドル/5週/Cineverse

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2024年11月11日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照

https://www.boxofficemojo.com/weekend/2024W45/
https://variety.com/2024/film/box-office/venom-3-box-office-winner-a24-heretic-opening-weekend-1236205857/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/venom-last-dance-box-office-post-election-1236057931/
https://deadline.com/2024/11/box-office-heretic-best-christmas-pageant-ever-1236170937/
https://www.mariashriversundaypaper.com/chris-pratt-op-ed/

■公開情報
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』
2025年2月14日(金)全国公開
出演:アンソニー・マッキー、ダニー・ラミレス、リヴ・タイラー、ジャンカルロ・エスポジート、ハリソン・フォードほか
監督:ジュリアス・オナー
製作:ケヴィン・ファイギ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2024 MARVEL.

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる