『アンチヒーロー』は今まさに観るべき一作だ 長谷川博己が北村匠海に与えた影響

『アンチヒーロー』は今まさに観るべき一作だ

 明墨とともに巨悪に立ち向かう共演者の証言はインタビュー映像に収められている。オファーを受けたときの心境や主演の長谷川との関係、日常会話でのやり取りなど、ここでしか聞けない話が盛りだくさんだ。若手弁護士の赤峰柊斗を演じた北村匠海は、長谷川の連続ドラマ初主演作となった『鈴木先生』(テレビ東京系)以来の共演。完全版の二人の対談で、北村は再会の喜びとともに同作がその後のキャリアに与えた影響を語っている。

 法律用語を駆使する撮影は終始なごやかな雰囲気に包まれ、アドリブも飛び出すなど創造的な現場だったことは、舞台挨拶とスペシャル座談会でのトークから伝わってきた。考察班には、最終回直前に緊急SPトークとして放送された長谷川と飯田和孝プロデューサー、演出の田中健太による鼎談がヒントになるだろう。明墨正樹という異色のキャラクターを作り上げる上で参考になった名作アニメや、奥行きを感じさせる役作りの工夫、2020年当初の企画案のプロットなど貴重な裏話を聞くことができる。

 法律のルールをフィクションの世界でどこまで超えられるか、ギリギリのラインを探る中で『アンチヒーロー』の世界は出来上がった。視聴者の反応を受け止めつつ、作り手であるキャスト・スタッフ自身が世界観の広がりと可能性を感じながら物語を紡いでおり、オールアップの挨拶で長谷川も「相乗効果で作品が良くなった」と振り返っている。

 『アンチヒーロー』の明墨は、日曜劇場が掲げる社会正義の命題を反転する形で背負っており、本作は一人の弁護士の姿を通じて正義と悪を問い続けた。それはまるで、一時的な感情や常識に流されて判断を見誤り、善悪の境界で揺れる私たちを試すかのようだった。現実の社会では、長く続いた冤罪裁判に終止符が打たれた。『アンチヒーロー』は司法の潮流を先取りした作品として、今まさに観るべき一作と言えるだろう。

■リリース情報
『アンチヒーロー』
10月30日(水)Blu-ray&DVD-BOX発売

【Blu-ray BOX】
金額:32,340円(税込)
品番:TCBD-1630
仕様:2024年/日本/カラー/本編563分+特典映像177分/16:9 1080i High Definition/2層/音声:リニアPCM2chステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/全10話/4枚組(本編ディスク3枚+特典ディスク1枚)

【DVD-BOX】
金額:26,400円(税込)
品番:TCED-7627
仕様:2024年/日本/カラー/本編563分+特典映像177分/16:9LB/DISC1・3~6:片面2層 DISC2:片面1層/音声:ドルビーデジタル2chステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/全10話/6枚組(本編ディスク5枚+特典ディスク1枚)

<本編>
未公開カット46分復活版

<特典映像>
・メイキング集
・インタビュー集
・スペシャル舞台挨拶
・長谷川博己×北村匠海 真剣対談 完全版
・スペシャル座談会 完全版
・最終回直前 緊急SPトーク
・オールアップ集
・SPOT集

<封入特典>
ブックレット

出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、林泰文、近藤華、山下幸輝、細田善彦、神野三鈴、岩田剛典、藤木直人、緒形直人、吹石一恵、木村佳乃、野村萬斎
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
音楽:梶浦由記、寺田志保
主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
法律監修:國松崇
警察監修:大澤良州
製作著作:TBS
発売元:TBS/TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント
©TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる