『おむすび』で朝ドラ原点回帰? 橋本環奈×佐野勇斗が最悪な形で出会う“お約束”も
そんな結は学校からの帰り道、帽子を海に落としてしまった幼い兄弟と遭遇。人助けせずにはいられない性格のようで、思わず制服のまま海へ飛び込む。これまでも『てっぱん』のあかり(瀧本美織)、『とと姉ちゃん』の常子(高畑充希)、『ごちそうさん』のめ似子(杏)、『虎に翼』の寅子(伊藤沙莉)など、水に落ちてきた朝ドラヒロインは数知れず。ヒロインの水落ちはもはや朝ドラのお家芸であり、「うちは朝ドラヒロインか?」という結のメタ的台詞には思わず笑ってしまった。
その後、結は助けてくれた野球着姿の高校生・翔也(佐野勇斗)に服を着たまま海に飛び込んだことを注意され、言い合いになる。のちに恋に落ちる二人が最悪の出会いを果たす……というのも朝ドラあるある。結と翔太がそのパターンに当てはまるかどうかはわからないが、「俺は3歳から地元の海で泳いでた」「うちも6歳の時からここの海で泳いでます」と張り合う姿はすでに息が合っている。
そもそも結は元から糸島で育ったわけではなく、9年前に両親と越してきたようだ。2004年の9年前は、1995年。「9年やない。9年と2カ月と20日や」という聖人の台詞から察するに、阪神淡路大震災をきっかけに結たちは祖父母がいる糸島に移住したのだろう。脚本家の根本ノンジが、阪神淡路大震災の時に震源地から少し離れた兵庫県・丹波地域に住む女性たちがおむすびを握って被災地に届けたという話から着想を得たこの物語。大事な帽子が水に濡れて泣いている兄弟に、結が実家でとれたトマトを差し出す際に告げた「美味しいもん食べたら、悲しいことちょっとは忘れられるけん」という台詞は本作の大事なテーマとなってくるのだろう。
そして今度こそ帰ろうとした時、結は謎のギャル集団に絡まれる。バブルが弾け、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、アメリカ同時多発テロ、東日本大震災など、振り返ってみれば色んなことがあった平成。悲しい出来事も多々あったが、その中でもギャルたちはいつでも明るく逞しく生きていた。そんなギャルの文化に触れた結が平成という時代をいかにサバイブしていくのか、これから半年間見守っていきたい。
■放送情報
2024年度後期連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、仲里依紗、北村有起哉、麻生久美子、宮崎美子、松平健、佐野勇斗、菅生新樹、松本怜生、中村守里、みりちゃむ、谷藤海咲、岡本夏美、田村芽実ほか
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK