『海のはじまり』大切なものに別れを告げた夏と海の決断 目黒蓮が体現した苦悩と誠実さ

『海のはじまり』夏と海の決断

「ママがいなくなって、海の生活はすでにたくさん変わったのに。どうしてまだ海が変わらなきゃいけないの?」

 確かに、海には海なりの事情がたくさんある。でも、それも海に直接聞かなければ本当のところはわからない。海が学校帰りに津野(池松壮亮)に会っていることも、水季(古川琴音)と行った場所をひとつひとつ大切にしていることも、夏はまだ知らないのだから。

 夏と別れた弥生は、「ママにはなれない」という現実を、自ら海に伝える。海のことも、夏のことも嫌いになったわけではない。ただ、家族として一緒に暮らすことはできないのだ。それでも「海ちゃんのママにはなれないけど、友達にはなれる」。さらに弥生は海に約束する。「何かあったらいつでも相談して、ちゃんと聞くから」と。

 一方、夏は自責の念に駆られていた。賑やかな南雲家の生活から、海を奪うような形になってしまったことに深く落ち込んでいたのだ。誰も傷つけない完璧な選択など、この世にはない。かといって、自分が傷つけばそれでいいというわけでもない。それは水季からの手紙の中で、弥生自身が教えられた言葉でもあった。

 転校して一緒に暮らすか、転校せずに別々に暮らすか。夏は海に選択を委ねる。「ずっとはないよ」と夏は正直に伝える。誰よりもずっと一緒にいたかった相手である、水季との別れを経験している海だからこそ、夏は正直に伝えたのだろう。「できるだけ長く一緒にいることを考えて決めた」という誠実な答えは海にもしっかり届いたようだ。

 次に夏は海に、名字を選ぶよう求める。海は即座に「月岡になる」と答えを出す。あまりにも決断の早いことに驚いた夏が確認をしても、「大丈夫、変える」と海は揺らがない。南雲という名字が変わってしまっても、海には「さんずい」があるから。「さんずい」は海にとって、大好きなママである水季とのつながりを表す大切なものだった。自己紹介でも海がさんずいを強調する場面が印象的だったが、それは海の中で、母とのつながりを象徴する要素だったからなのだろう。

 それぞれ大切なものに別れを告げ、お揃いの名字と新しい暮らしを手にすることを決めた海と夏。2人のこれからの生活が、どうか温かいものであることを願わずにはいられない。

■放送情報
『海のはじまり』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:目黒蓮、有村架純、泉谷星奈、木戸大聖、古川琴音、池松壮亮、大竹しのぶほか
脚本:生方美久
演出:風間太樹、髙野舞、ジョン・ウンヒ
主題歌:back number「新しい恋人達に」(ユニバーサル シグマ)
プロデュース:村瀬健
音楽:得田真裕
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/uminohajimari/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/umi_no_hajimari
公式Instagram:https://www.instagram.com/umi_no_hajimari
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@umi_no_hajimari

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