『降り積もれ孤独な死よ』山下美月が体現する絶望の果ての光 顔に傷のある男の正体を考察

『降り積もれ孤独な死よ』顔に傷のある男とは

 『降り積もれ孤独な死よ』(読売テレビ・日本テレビ系)第8話は、クライマックスに向かう本作の最深部に斬り込む核心回だった。

 完了形で語られる言葉のどこかに真実がある。冴木(成田凌)に向かって「もう冴木さんを巻き込むつもりはありません」と告げた花音(吉川愛)。それは全てを知るものだけが発する響きを帯びていた。

 灰川邸のそばで白骨化した遺体が発見された。その数日前、同じ場所で花音の姿が目撃されていた。マヤ(仲万美)の死に続いて花音の関与が疑われ、警察は花音の足どりを追う。一方で、記者の森(山下美月)は失踪した少女の美来(水野響心)を探す中で、行き場のない女性が暮らすシェルターの存在を突き止めた。

 事件が発覚した当初、灰川邸で生き残った6人のうち、弁護士になった悟(松本玲央)はマヤの殺害に健流(杢代和人)が関与している可能性をほのめかした。何者かに殺されると怯える優磨(カカロニ栗谷)は、トラックに轢かれて重傷を負った。唯一姿を見せない健流の手がかりを探ろうと、冴木と森は、健流の母の陽子(長谷川京子)のもとを訪れた。

 いくつもの線が交錯する相関図と過去と現在が入り乱れるストーリーライン。第5話のラストで冴木と花音を襲った顔に傷のある男が健流ではないかとの疑問は、その後も提起されてきたが、陽子によって否定された。灰川邸を出ていった健流は、灰川(小日向文世)と“きょうだい”たちに恨みを抱いてもおかしくない。その健流も実家に居場所はなく行方が知れないまま、陽子のもとに毎年黄色いカーネーションが届けられていた。

 不在の健流は回想シーンしか登場しない。そのわけは第8話ラストで明らかになるが、一言でいうなら、彼もまた“犠牲者”だったということだ。そして「顔に傷のある男=健流」の可能性が否定され、美来の失踪は花音が美来に居場所を作ろうとしたためだったと判明した状況で、顔に傷のある男は誰かという問いは、あらためて視聴者全員にとっての疑問となった。

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